沖縄の、美女を見る目は憐れみか

沖縄のナイトクラブで興味深い女性と出会った。彼女は頬骨の張った沖縄特有のエキゾチックな雰囲気を持つ美人だった。すぐに彼女の行動に違和感を感じた。話を進めるうちに違和感の正体が分かった。彼女は小学校さえ出ていない不登校児だ。彼女は世間を何も知らなかった。地理に疎く、隣の台湾が日本ではないことも分からなかった。googleやyoutubeという言葉さえ知らない。いやそれどころか、識字力が著しく低く、計算能力も皆無だった。お金の概念に疎く、LINEの短いメッセージから意図を読み取るのさえ困難だ。彼女と何度か食事に行った。興味深い事が見えて来た。なんくるないさ(なんとかなる)、いちゃりばちょうで(出会った人みな兄弟)、ゆいまーる(助け合い)という文化が根付く沖縄だからこそ、彼女は社会の隅に追いやられる事もなく堂々と生きていける。温暖な気候、独特の相互扶助文化、同じ境遇の仲間、同じ境遇の親、日本の高度なインフラ社会。このグレートフィルターを突破すると例え小学校に行かなくても、識字しなくても、高い幸福度のまま生きていける事が分かった。教育という知恵の実を食べたボクらは多くを知り、学習し、視野を広めた先に幸せがあると願ったけど、ボクらは知恵の実を放棄した彼女の圧倒的幸福度には敵わない。10代そこそこにして男の欲望渦巻く世界に身を投じ、DV、レイプ、度重なる妊娠、度重なる流産。しかし関わった人を憎んだことはないし、彼女は今が最高に幸せだと曇りのない笑顔で言う。識字しなければ一切の情報が入らない。欲もない。他者比較もしない。過去の実績を未来に生かす事もしない。暗い未来を予期することもない。ただ一日を自分の手の届く世界だけで刹那的に過ごす。所詮、ボクらはグレートフィルターから振り落とされた者たち。欲におぼれ、他者と比較し、過去に苛まれ、遠のく幸せに気づかず毎日を消費するのか。学校なんかいくなとどこかのYoutuberが説く。教育格差を埋めよと政治家が説く。しかし知恵の実を放棄した彼女はそういった意見に触れる術がない。書籍、WEB、TV、ニュース、ネット動画、それらすべてにアクセス不可能。母国語を識字しないというのはそういうことだ。当然、話者のスピードに理解が追い付かないし、事象の説明もひどく苦手。でもやっぱり小学生で時が止まった彼女はそういう意見する者達より圧倒的幸福度を得ている。世界は・・なんてバカバカしい。識字という知恵の実を食べたボクらは、もう遅い。経済奴隷になるべく教育から逃れる術はない。途中で教育を辞める事が最も罪深い事。識字させたのなら、殴ってでも学校へ行かせるべし。そう思った。そして人の最終的な欲求が幸福なら、ボクらは敗者で、彼女こそ真の勝者。あぁ、ボクらが食べた知恵の実は、悪魔の実だったのか。彼女は小学校で時を止めた。体は大人だが、精神は娘とそう変わらない。ボクは彼女の胸の空いたドレスのボタンを閉めたくなった。

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