久々にドラマというものを見ました。TVではありません、実生活においてです。

第一志望校受験日当日。8時半からの試験に挑むため、6時には準備を整えていました。私は同行しないことにしました。私の存在は無駄に緊張を煽るだけだからです。合否発表は当日夕方にオンラインで通知される仕組みでした。近くのカフェで昼食をとりながらママと娘で自己採点をします。結果はひどいものでした。次々にネガティブな情報が私のところに送られてきます。過去問と剥離している問題が出ている事。いつもは書ける漢字が書けていないこと。空白を作ってしまったこと。すべて減点要素です。記入した解答すべて合っていたとしても合格基準に到達できるかどうかという微妙なライン。”受験失敗”これが現実味を帯びてきました。しかし受験は「最後の最後まで何が起こるか分からない」それが通説です。昼食を食べ終え、再度試験に臨みます。娘の緊張は最高潮に達しているようです。昨日もっと勉強しておけばよかった。もっと真剣に漢字に向き合うべきだった。しかし試験は今目の前にあります。後悔してももう遅いのです。

娘の受験が終わる時間を見越して私も現地に行きました。試験を終え、学校構内から出てくる娘を出迎えました。表情は険しく、そっけない態度で終始無口です。自信があるようには見えませんでした。妻マッキーは既に不合格になったことを見越して塾の補習枠を確保し、第2志望校への願書出願に向けた手続きを開始していました。アルファード車内。非常に重たい雰囲気です。

そろそろオンラインで合否発表がなされる時間です。合否はスマホ上で確認が可能です。娘は昨日まで「自分で合否を見る勇気がない」と言っていましたが、今になって急に「自分で確認したい」と言い始めました。

外に出て、スマホを娘に渡します。しばらく躊躇していましたが、意を決して結果ボタンを押しました。

 

結果は合格でした。意外とも言える結果でした。この場にいる全員、不合格が濃厚だと思っていたからです。

 

結果を見て涙する娘。今までの努力は今、この瞬間のために。

おめでとうと声を掛けました。実は私は一足先に合格を知っていたのです。親の口から知らされるよりも、自分の手で実感を嚙み締めた方が良いと思います。やれやれ、ポーカーフェースというのも疲れます。

 

合格を知り涙する妻マッキー。この三年間、何もなかったはずがありません。いえ思い返してみると苦労しかなかったのでしょう。娘の教育に挫けそうになるマッキーを何度も見ました。そこで男は何をアドバイスできるでしょうか。実際やれることは何もないのです。私が言い続けたのは「受験すると決めたなら、全員が腹を据えるしかない」と言う事です。たとえ勉強をしなくても、非行に走っても、諦めたくなったとしても、何があっても必ず受験日はやってきて、合否は決まる。受験すると決めた瞬間、家族全員、前だけを見て走り続けるしかないのです。物事を最終的に決めるは、根底にある理念でしかありません。

もし、大人でも青春を感じる事ができるとすれば中学受験は良い選択です。その苦労と達成感。これは大人の青春に間違いないと思いました。娘とママ。プレイヤー達の苦労は計り知れませんが、傍観者からすると羨ましく映るものです。今日は実に、実に素晴らしいドラマを目の前で見る事ができました。目指すべきところがあり、挫折して、学習を繰り返し、やがてそれを我が物にする。人間らしく生きるとはこういうことなのだと、改めて思いました。

 

合格。しかし終わりません。この後も娘は塾の補習に向かいました。娘は明日もテストに挑むのです。合格はしたけど特待生枠に入れなかった為です。特待生枠に入れれば授業料がかかりません。その門は未だ開かれているのです。娘の挑戦はまだ続きます。