クランツレ物語7 – クニペックスから始める

先日は技術講習のために大阪クランツレを訪れていました。もう何度めでしょうか、道中SAには寄らず6時間走り切ります。新東名は快適で、スピード制御はディストロニックにお任せです。あとはステアリングアシストが付けば東京ー大阪間の旅は更に快適に。次期Vクラスはステアリングアシストが装備されるようなので楽しみです。

今回も師匠と呼ぶべきメカ藤井氏の指導の下、オーバーホールと修理を学んでいました。

業務用の高圧洗浄機を取り扱うというのは簡単なことではありません。知れば知るほど、安易に踏み込んではならない世界だと実感しています。趣味だから、好きだからと言ってビジネスに結びつけるには、相当な時間と学習、投資が必要です。今、遠く続く階段を一歩ずつ登っています。

ディテイリングには水圧と水量どちらも大事です。しかし世界でも稀に見る日本の一般電源100Vというプアなエネルギーではどちらかを犠牲にするしかないです。所詮100Vではどうがんばっても水圧は10メガパスカルそこそこしか出力できない。で、あるならば水量を増やす方向に振った方が良いでしょう。ブレーカーが落ちないギリギリのラインまで水量を増やす。そういう攻防を繰り広げています。なんのこっちゃですよね。マニアってやつですよ。

マシニング加工された美しいパーツ達にオイルが投入されます。オーバーホールを施した内部を見るのは至福の時間です。

例え使い古されたとしても、ボディは屈強にできています。だから駆動部を交換するだけで性能を維持し続けれます。

構造やメンテ方法が分からないわけではありません。それなりに理解しているつもりなんです。でもいざ自分のガレージでやってみるとどうもうまくいかない。なんでだろうか。多分それは道具だと思いました。ネジ一つ外すにも、圧力の塊のような機材なのでトルクが必要だし、特殊工具も必要。こんなに小さい機械なのに使うべき工具は多岐に渡ります。その工具をボクは持ってない。あるものはホームセンターレベルの工具ばかり。

東京に戻り、ファクトリーギアを訪れました。クールな工具が揃うクールなショップです。

買うべきものはたくさんあります。ありすぎてどれを買ったらいいか分かりません。でもこれだけは欲しかった。クニペックスのプライヤーです。高圧カプラーの装着を傷つけずに行えます。まずこの2つを買いました。なんだかメカニックになった気持ちです。だって平均的な家庭ではまず使わないものでしょう。

使ってみます。すごく上質で、素材が傷つかない。それなのにしっかりトルクがかかります。良い仕事とは何でしょうか。いくら丁寧だからといって、時間が倍かかってしまえば良いものとは言えません。時間もカネも、何もかもが有限です。高い精度を短時間でこなす。それが良い仕事なんだと思います。そのために良い道具が必要。

表面的な、格好だけのものを集めてきたなと思いました。道具に投資してこなかった。すごく浅はかなだったなと思いました。クニペックスのプライヤーでそう感じました。これからしっかり見極めて道具を集めていこうと思います。

大阪からの帰り、東京に着く頃は朝方です。体はヘトヘトだけど、得られたスキルによって心はウキウキしています。長年IT業界、プログラマーとして活動してきました。新しいアルゴリズムを理解した時のウキウキ感と一緒です。最高のパートナーはHappyHackingのキーボードでしたが、今はクニペックスのプライヤーに変わりました。プログラムとメカ、対極と思いがちですが、どちらの世界も感情や主観を許さない、理論的な世界です。そう思うとボクの世界は何も変わっていないのでしょう。メカニックになれるとは思えないですが、そういう夢を持てることに意味があるんだろうと思います。クランツレ物語、続いていきます。

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