ケーニッヒレストアに心折れた。盗難被害。マニアの魂を返してくれ。ケーニッヒ、W140 AMG 600SEL終了

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 OZフッツーラ ケーニッヒ 17インチ × 4本 フルリペア品
 AMG 17インチ 2P フルリペア品

まったく予想しないことが起こった場合、人は何をするのだろう。

ガレージからオフィスに戻り、席についてパソコン仕事をしようとしたとき見知らぬ番号から着信があった。相手は借りているトランクスペースの運営会社だった。はみ出た荷物をしまうために、ガレージの近くに2つの小さいコンテナを借りている。電話の内容は「いくつかの契約者コンテナで鍵が破壊された。その中にあなたも含まれている。至急中身を確認してほしい」ということだった。

ついたばかりのオフィスを出て、とんぼ返りで千葉へ向かう。東京から流山間。空いている時は30分程度で着くのに夕方を過ぎると首都高を抜けるまで1時間はかかる。

まさか盗難なんてないだろう。もしあったとしても被害は軽微なものだろうとこの時は思っていた。2つの借りているコンテナのうち、鍵が壊された側には特に思い入れがあるものは入れていなかったから。

渋滞を抜けるまで相当な時間がかかった。もうすっかり暗い。まさかこの時間まで誰も私の到着を待っていないと思ったが、警察官と、運営会社スタッフがバタバタと動き回っていた。警官にコンテナまで案内される。なぁに「何も盗られなかった」で終わるはずさ。すぐに切り上げて喜多方ラーメンでも食べに行こう。しかし何故か警官は想定したコンテナの前を通り過ぎ、思い入れがたくさん詰まったコンテナの方へ行く。急に緊張した。コンテナの中をのぞくのが怖い。

どうぞと警官に促され、ゆっくり中を見る。コンテナの奥。ぎゅうぎゅうに詰まっていたはずなのに、ぽっかりと空間が空いているのが目に入った。驚きはしなかった。どこか予想していた自分がいる。そこにあるはずだったものは何だろうか。知ってるはずだけど、もう一度考えてみたかった。認めたくなかったとも言える。

間違いなくその空間にはケーニッヒメルセデスのホイール一式と、W140 V12 600SEL AMGの純正ホイールがあったはずだ。そのどちらも苦難を乗り越えて入手し、更にリペアの名店、北海道の小樽ラヂエターにレストアしてもらい、長年、大事に大事に保管してきた。家に置くスペースがなくて、ガレージも手狭になって、最終的にこのコンテナに移した。たまに意味もなく開封し、その磨き込まれたリムの輝きに満足感を得ていた。所有する喜びと、将来これを履いてケーニッヒを走らせる楽しみをこのホイール達は与えてくれた。

白い小樽ラヂエターの段ボール。合計8箱。こつ然と姿を消してしまった。これを盗まれたというらしい。若手の警官が事情を聞いてくる。一生懸命答えた。きっと彼らがなんとかしてくれる、そういう思いがどこかにあった。でも時間が経つにつれ現実が見えるようになってきた。

被害を受けたのは私のコンテナ含め3つ。分厚いドアが何か強い力でねじ切られた後があった。その乱暴さを見ると犯人の相当な覚悟を感じる。もう一人の被害者も居合わせた。大工さんだった。「俺は電動工具をやられたよ。まぁもういらないからいいけどね」と彼は言った。やはり大工というのはどこまで行っても粋な存在なんだなと思った。私も試しに「こっちはホイールをやられましてね、まぁなんてことないホイールですよ」と言えるワケがない。マニアの魂とも言えるケーニッヒとAMGホイールが根こそぎ盗まれた。粋な存在ではいられない。ボクは今、スタープラチナを失った承太郎のようだ。

もっと何か盗まれたものがあるに違いない。コンテナの奥へ入り確認しようとする私を「鑑識が来るまで何も触らないで!」と警官が制止した。あぁなるほどこれは事件なんだなとこの時実感した。そう時間もかからずに女性の鑑識チームが到着。刑事ドラマで見るような、丸い綿あめのような棒を片手に、地面に突っ伏し、そこら中の指紋を採取している。今どきレーザーか何かで正確に、かつ一瞬に終わるかと思いきや、時代は進んでいるよう見えて、実は何も変化していないのかもしれない。

鑑識チームは時折私のところへやってきて、盗まれたモノの詳細を聞いてくる。彼女達は無感情のように見えた。淡々と、書類に目を落としたままで。毎日同じことが起こるんだと思う。被害者に寄り添ってるヒマなんてないだろう。そう思ったから私も淡々と事実のみを伝えた。しかし鑑識の彼女がふとコンテナの中に残された何本ものピレリタイヤを指差し「この見たこともない太いタイヤ・・何かすごい物を保管していたんですね・・私には何も分かりませんけど、高価なモノが盗まれたというのは分かります」とつぶやいた。同情を得たことで、少し落ち着いた気がする。このタイミング、この一言。女性が持つ優しさを感じた。

何時間現場にいただろうか。暑いから交番で続きをやろうということになり、移動した。運営会社のスタッフは「後日、保証会社を介して連絡します」と言い残し去って言った。いくつかのシナリオを考えた。最適な補償がされるパターンはどうだろうか。骨董品なので評価額がどうやって下されるのか疑問だ。多大なコストを費やした。被害額は大きい。しかしマニアの評価が世間の評価にはならない。著しく安い金額が提示されるだろう。もう一つは最悪の何も補償されないパターンだ。正直、どっちに転んでもいいやと思った。カネの問題ではない、魂の問題だ。マニアの魂が奪われてしまえば、それを補完できるものは何もない。

被害届けが受理された。とても丁寧にご対応頂けた。感情の凹凸が激しい数時間だった。それがボクをラーメン屋へと向かわせた。もう喜多方ラーメンは閉まっていたから、目についたお店に飛び込んだ。なんだか味気ないラーメンだ。でも、この味は一生残る。

この宇宙船みたいなSLに乗るのも一つの目標だった。あとはエアコンを直してホイールを履けば完成というところまで来ていたSLケーニッヒ。幌まで購入していたのに。しかしケーニッヒホイールがなければケーニッヒとは言えない。ここだけは譲らずこだわってきた信念だ。心が折れるとはまた違う。完成されかけたパズルのラストピースが無くなった。そんな感じ。

盗難に合ったホイール。OZケーニッヒ。

もう一つはこのAMG V12 600SELに履いている純正AMG。フルリペアホイール。AMG V12 6リッターだぜ!?それがもう完璧な姿にならないなんて!

ホイールが手元に戻ってくる可能性はほとんどないと思う。どうでも良いとは言えないが、どうしようもできない。管理が甘かった?早く完成させていれば?いろいろ考えがよぎる。でも何を言っても後の祭り。自分を責めても良いことは何もない。また根気よく探せば手に入るかもしれない。しかし入手した当時とは違って、今は世界がプレミアを知ってしまっている。強気な海外勢に円安ジャパンな私には競り勝てないだろう。嫌な思いが残る。盗まれた事より、嫌な思い出が嫌だ。だからどこかで諦めて、楽観的にならなければいけないんだと思う。

あぁでも確かケーニッヒマニアのO氏が同じSLに乗っていた。そういえば最近SELケーニッヒを手に入れたナベ氏もOZホイールを履いていた気がする。「奪われたのなら、仲間から奪ってしまえばいいのよ」と娘がささやいた気がする。まったく予想しないことが起こった場合、人は何をするのだろうか。

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 OZフッツーラ ケーニッヒ 17インチ × 4本 フルリペア品
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ケーニッヒレストアに心折れた。盗難被害。マニアの魂を返してくれ。ケーニッヒ、W140 AMG 600SEL終了”へ5件のコメント

  1. カーギークス!万歳 より:

    おはようございます。なんてことでしょう。気を落とさずに。この手のホイールは、もう数が少なくなってきているので国内で捌こうものなら見つかるような・・・。取りあえず、知り合いたちに連絡をして網を張ってみます。

  2. とも より:

    見つかりました(^_^)vって、ブログがupされますように(・ω・`人)

  3. かくれぜんせーファン より:

    最近日本人が他人の痛みに鈍感になってしまっている気がします。背に腹かえられず犯罪に走ってしまうほど貧しい国になってきてしまっているのでしょうか、、、とはいえ人のものをとっていい理由にはなりませんが、、、
    タイヤが無事とのことでしたら、逆にタイヤ屋さんに網を張るのも手かもしれませんね。モノが国内にあって車に履かせるとするならば必ず新しいタイヤをまとわせるはずですし、ぜんせーさんが手に入れづらかったくらいサイズが特殊ですから、「もしかしたら」があるかもです。

  4. たんたらす より:

    今は無理でしょうけど元気出してください。ブログ応援しています。

  5. いつき より:

    ただただ酷い
    本当に酷い
    自分も微力ながらアンテナはります

    見つかる事を祈ります。

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