理想の高圧洗浄機を作りたいという目標ができてしまった。周囲の人間はもはや咎めることさえしなくなった。高圧洗浄機の魅力を語っても誰もピンとこない。何故誰も理解してくれないのだろう不思議で仕方ない。と同時に自分が他人から理解されるような人間ではなかったことを思い出した。うむ、今回も一人で突っ走ろう。人生は独走だ。

素晴らしい品質のクランツレ洗浄機を小型・据え置き型にカスタムしたい。それが目標だ。でも何のためにそれをするのか、高圧水を出したければケルヒャーでもマキタでもいい。性能に優れ、小型で価格も安いものはいくらでもある。なのに何故わざわざドイツブランドの洗浄機を純正のままではなく、オリジナルカスタムしたがるのか。自分でも良く分からない。多分意味はない。ランボルギーニ・アヴェンタドールを買った時、わざわざイタリア本国にオリジナル内装をオーダーメイドした。そこに意味があるのかと言えばない。それと同じだと思う。欲しいものが欲しい。人間が行動する動機なんてそんなもんだと思う。

日本クランツレ大阪本社に到着した。長いことエンジニアの藤井氏とやりとりをしていたが、顔を合わせるのはこれが初めてだった。メーカー側にとって、私のような人間は最も避けたい部類の一つだろう。大きな注文を出すこともなく、わがままな要望ばかり言う。しかし日本クランツレは私の話しを良く聞いてくれた。藤井氏は同じクルマ好きで、メカが好きで、ヲタク気質。共通するところがいくつも私達にあった。そういう男臭い会話が企業の門を開いたんだろうと思う。ビジネスも大事だが、こういう趣味からつながる事も大切だ。所詮はビジネスも人生の一部、楽しまなければ意味がない。

いくつも検証機を用意してくれていた。

洗浄機をカスタムするには基本的なところから学んでいかなければならない。モーター、駆動部、ポンプの役割、電力と水量の関係、圧力とノズルサイズの関係。藤井氏は様々な事を教えてくれた。

実機を使ってオイル交換の方法を学ぶ。

使い古された高圧洗浄機がどういった状態になるのか。メンテナンス、オーバーホール方法も学んだ。

高圧洗浄機は比較的シンプルな構造で成り立っているため、少し勉強すればたいていは理解できるようだ。クルマをイジり倒すのは素人では難しいが、高圧洗浄機ならできると思う。クルマと少し似ている部分もあるし、イジろうと思えば自宅でできる。

高圧ホースの製作方法も教えてくれた。ホースマニアでもあるのでこの体験は素晴らしいものになった。専用工具でカシメる必要があるからなかなか手出ししづらいが、工具さえあれば自分の好きなホースを作ることが可能になる。

オフィスではカットモデルを使って座学を行った。

倉庫内を散策する。興味深い製品ばかり置いてあって、時間を忘れた。

結局深夜まで滞在した。ここまでやってくれる企業の体制に感動した。クランツレがすごく好きになった。

大阪にいるならいかなければならないところがある。心斎橋のしゃぶ亭。ここのごまタレは逸品。

2日間、朝から晩までぶっ通しで洗浄機に触れた。そして自分の理想の形にカスタムするヒントを得た。東京に戻って実験してみようと思う。続く。