「トヨタを創った男」という番組を見た。

戦前、戦後にわたり、豊田喜一郎の翻弄が描かれている。何度も足元をすくわれながらも這い上がろうとする雄姿。シボレー、フォードの技術力に負けじと挑戦する姿。戦時中の軍需会社に指定され、人員、資材に厳しい制限がかかる中、木材を使っててでも国民のためにクルマを生産し続けた粘り強さ。不況による経営難、レイオフを余儀なくされるが、最後の最後まで雇用を守ろうとする責任感。

中々興味深い内容だった。クルマ離れというヤツが蔓延している世の中で、わざわざ戦前に遡ってまで一企業の歴史を知りたいという若者は多くないだろう。しかし自動車産業は国そのものに莫大な利益をもたらす。雇用を生み、富を作り、人々を豊かにしてきた。日本は紛れもない自動車立国なのだ。

ボクは少しだけ日本車が好きになり、少しだけ日本人としてのプライドが上がった。

クルマへの意識が薄れゆくのは時代の変化。抗うことはできないにしても、もっと小さな頃からトヨタや、プリンス自動車、ホンダの歴史を学ぶ機会があったなら、自動車そのものに対する大衆の意識は違っていたのかもしれない。日本の強力な自動車産業が世界を変えてきたっていうほんの少しのプライドが、今の時代には大きな力になっていたかもなぁ。もう遅いけど・・。

しかしなんだかうらやましいね。一生涯かけて会社と共に生きようとするエンジニア達。彼らの生活を必死で守る企業の姿。その頃の企業には魂が宿っていたとすら思えるよ。現代はどうだい。少しでも経営が傾けばさーっと人は引いてゆく。少しイヤなことがあれば転職、また転職。会社がどれだけ寄り添っても、雇用者には響かないのか。かといって会社が雇用者に対して割り切れば悪く言われるのは必至。あぁ資本主義、あぁ自由主義。荒野に花を砂漠に緑を、そしてボクには進むべき道をぅぅ・・。