収束

先日、「会社はシャットダウンすべきか、しないべきか」というお題を新卒勢に投げかけました。新卒勢が会社体制を巡って批判の声を上げたからです(記事:混乱を参照)。今日がそのレビュー日でした。ちなみに会社は行政の要請通り在宅率を7割弱、一部シフト制に切り替えています。

ホワイトボードに新卒勢の提案が列挙され、代表者一人がボクと役員に向けて声明を述べました。

リモートワークの日を増やす、フレックスタイム制の導入などを要望として受けました。中には「こうしてくれれば私たちは納得する」という発言もありました。

少し間を置いてボクから返答をしました。

まず、難しい議題に対して全員で取り組む事の重要性と、バラバラだったみんなの意見を自分達の力でまとめた事に称賛の言葉を送りました。

そしてすべての要望を却下する旨を伝えました。

また、君たちに納得してもらうために会社を運営しているわけではないとも伝えました。どちらもやさしい口調で、しかし異論を受け付けない力強さで答えました。

そしておそらくボクは間違っているだろうとも伝えました。でもこういった状況下では各々が各々の正義を貫くしかない。ボクはボクの正義を貫く。君たちも君達なりの正義を貫くべきだ。だから会社を去る事を咎めはしない。そう言いました。

ボクは彼らの提案、何一つとして間違った主張ではないと思いました。可能であればすべてを受け入れたい。でも、彼らに合わせたら、彼らを育成する先輩社員たちの管理コストは倍増し、たちまち会社は立ち行かなくなる。今会社が死ねば全社員の人生が狂う。最初はバランスを取った。すべてに耳を傾けたつもり。それでも均衡が崩れるなら、肯定派を守り、否定派は切り捨てなければならない。そういう時がボクのような弱小企業にはある。確かに彼らを採用するために大きなコストを払った。でも、それを無にしてでも会社は毅然とした態度を取らなければならない。だってこの未曽有の事態は会社を信じてくれる人達とじゃなきゃ乗り切れないんだもの。

その後、役員勢が一人ひとりと面談を組みました。結果、全員が会社方針を尊重してくれることになりました。ちょっと強く言い過ぎちゃったなって、覚悟はしてるけど全員辞めちゃったらどうしよう・・って、内心あたふたしてました。でも意に反して心はまとまってくれたようでよかったです。

飲食、観光業界へのダメージが大きいのは確かですが、他の業界も深刻になりつつあります。もうこの世に独立した業界なんてものはなく、一つがダメになればすべてが数珠つなぎのようにダメになっていきます。今、影響を受けていない業界も、やがては受ける。早いか遅いかの違いです。リーマンショック。あの時ボクらの業界はバッタバッタと潰れていった。コロナの勢いがそれ以上なら、多分、抗えない。

人は守りたい、でも会社も存続しなければならない。世論は労働者寄りの声が大きいし、国は後ろ盾になっちゃぁくれない。コロナの影響が大きい中小零細の経営者はこの難局、孤独な想いをしていることでしょう。でも大丈夫、すべてのリスクと責任を一手に引き受けるあなただから、身も心も事業に捧げてきたあなただから、あなたの判断が最終的にはすべて正しい。ボクは、1億人に後ろ指刺されても、一人になろうとも、会社を回し続けるよ。淡々としよう。下手に何かしようとあがくことはしない。今まで通り、冷静に行き当たりばったりに。いるべき社員と共に企画し、開発し、商品化し、プロモーションする。それでいい。

収束”へ3件のコメント

  1. ランスケ より:

    ぜんせーさんを含め、経営者の方々の精神力に驚嘆します。自分が同じ立場なら、折れてしまいそう。
    ご自身、ご家族も大切に。

  2. 匿名 より:

    こんばんは。
    会社を回し続ける、の言葉はこの不安が膨らむ
    現状において従業員にとっても拠り所になるのではないでしょうか。少しでも前に進む事や、その為の行動そのものが、私は生きて行く意義だと考えています。
    長期的に見て人材が不足する事に変わりは無く、この厳しい経済状況が好転した時に躍進するにはどうすればいいか。否定されても社員が残った今回の話は大変勉強になります。
    ありがとうございました。

  3. しょぅ より:

    会社を回す人たちに筋が通っており、かつ一生懸命なら僕ならどこまででもついていきます。そこまで本音で話してくれる社長はなかなかいないので本当に素晴らしい。皆が一生懸命リモートワークや事務所外で仕事をしようとしている状況の中、新しい役員が支店をみたことがないからというだけで視察にくるうちの会社の上層部も見習って欲しいくらいです。

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