
・・・この記事を見たんだけどね・・
うむ
・・・君の気持は充分に分かる。何故ならボクも昔にアイデンティティ崩壊を起こしたから。
それは興味深い
ミート君はオーストラリア生まれのアメリカ育ち。厳格な親の元で育ち、学校成績は常に上位。その後もハイレベルと言われる業界を転々としている経歴を持つ。完璧な人間に見える彼も中学時代に強烈なアイデンティティ崩壊を起こしていたという。
・・・とにかく親は厳しかった。勉強ができなければ殴る蹴るさ。
・・・ボクが行ってた学校は頭脳別でクラスが分けられた。だからいくらがんばっても常に同じレベルの奴らと一緒なんだよ。追い抜いてもまた上位のクラスへ。そこでがんばってもまた上位のクラスへ。友達と遊びたい盛りだったけど、一切気を抜く事ができない環境にあった。
・・・過酷すぎる環境だな・・別にクラスを落ちてもいいやんけ
いや、親や周囲の状況を考えると、”クラスを落とす”という概念がなかった。上に行くことしか選択肢がないんだ。
・・・
ある時からボクはずっと保健室にこもることになった。勉強中に吐いてしまうんだ。既に健全な精神は中学生にして失っていたということになる。
・・・友達はいなかったのか・・?
もちろんいたさ。でもね、中学生くらいになると人種を意識し始める。アメリカ人といても、何か違うと感じるようなった。そして多分それは向こうも感じていたんだろう。ボクの心は強烈なプレッシャーとそれを分かち合える友人がおらず、すさんでいった。
・・・中学生にして孤独か・・
でもね、週末の日本人学校だけは違った。そここそがボクがボクであるためのアイデンティティを保てる場だったんだよ。
・・・同じ色。同じ価値観・・か。
うん。そしてボクは決意した。日本へ行く事を。そしてずっと日本で日本人として生きていくことを決めたんだ。
なるほど。それで高校から日本を選択したんだな。
そう。今思えばあの時がボクのアイデンティティ崩壊さ。自分は何者なのかよく分からなくなっていた。ボクはボクを守るためアメリカの人格を捨てて日本に振り切ったのさ。
なるほど。確かにYouはアメリカ嫌いだもんな
Yeah。Youと違って当時のボクは自分の居場所を選択できる立場になかった。その状況でのアイデンティティ崩壊は強烈だよ。そしてそれは今後長い生活において暗い影を落とすことにもなる。異国で外国人として生きるにはやはり子供の時に自分は何者なのかをしっかり認識させてあげることが重要だ。
というわけでボクとミート君のある日の会話でした。ご査収下さい。