誕生日を迎えた。一つ歳をとるってな。しかし所詮誕生日など、人間が勝手に決めた指標。人生において年齢など関係ない。物理学では時間という概念は不明瞭であることから、絶対的な”時”がこの世にあるとは思えない。つまり時間は人それぞれ独自に進むってことだ。これだけいろいろ体験して、ボクはまだ30代を謡っていられる。これからも世間が言う時間軸から一歩引いて人生を歩もう。って何言ってんだオレ。

ちょうど休日の誕生日。息子のたっちゃんと久ぶりに家の近所を散歩した。NV350を見ると反応することから、ボクが歴代乗ってきたクルマはすべて頭に入ってる様子だ。血筋。ってのはあるんだなぁ。

せっかくだから渋谷まで足を延ばしてみたよ。繁華街を歩くなんてほんとに久しぶりさ。いつもはクルマで通るだけだからね。まだ小さな息子と手をつないで歩ける時間。あとどれくらい残されているんだろうか。

マックに入ったよ。店内はとても混雑しているよ。ちょうど隣の席に、パパと小学生くらいの子供がいたんだ。彼らを少し覗いてみたんだけど、パパはスマホでゲーム。子供もスマホでゲーム。二人の間に会話はない。向き合い、うつむき、たまに手がポテトに伸びるだけ。ただポチポチと。あぁスマホは家族から何を奪ったんだろう。ゲームが親子の時間を超越する存在であっていいわけがない。ゲーム会社が成長を続ける理由はなにか、ボクらは大事なものを削り取っている気がしてならない。

BRZを家族で洗車した。4人で乗れるとはいえ、後部座席は狭く快適とは程遠い。マニュアルで走りを楽しみつつ家族で快適に移動可能なクルマの選択肢は少ない。

夜はケーキを食べた。ボクの大好きなモロゾフのチーズケーキだ。人気のケーキゆえ、何軒もハシゴしてようやく手に入れてくれた妻マッキーに感謝だ。

次の1年、どう過ごそうか。ケーキを食べながらそういう話をした。

振り返ってみると、ここ2年くらいはほぼ主要な時間をアメリカで過ごした。それはボクに大きな刺激を与えたが、困惑も生んだ。アメリカの何を知ったのかって思うけど、少なくとも日本と多くにおいて真逆な環境にあることを実感する。どっちの常識で生きるべきなのか、人はやはりベースとなる拠点が必要だ。多くを知ることが幸せに直結するとは限らない。アヴェンタドールが3台目を迎えようとしている今、クルマへの情熱も、海外への情熱も、そして日本への情熱も、すべてが色あせてしまったように想う。たまに襲ってくる根拠なき虚無感。それでも活発に動けるのは会社が存在し、仲間がいて、新しい何かに挑戦できる土台がそろっていることだ。やはり人は一人では生きてはいけぬ。そう思うと、この誕生日、自分へのおめでとうではなく、周囲へのありがとうかもしれない。