
スーパーなクルマがスーパーな存在であり続けるためにはリセールバリューは重要だ。それはキャッシュのロスというより、乗る意味の喪失につながりかねない。
アヴェンタドールSVJの注文が完了し、あとは納車を待つばかり。来年の春先には来るんじゃないかと予想する。これでアヴェンタSロドスタをずっと所有しているワケにはいかなくなった。2台持てれば素晴らしいけれど、果たして2台必要かと思うところもある。
ここ最近、よくディーラーに足を運んでいたんだけど、少し気になることがあった。展示車両が入れ替わらず、ストック車両が増えていることだ。カーセンサーに至ってはクーペ、ロドスタを合わせると100台近くが出品されている。
以前がどのくらいだったか。データとして持っているわけじゃないけど、体感的にもう少し少なかった印象。確かに休日にはよくアヴェンタを見るし、遠くないひと昔前に比べて珍しい存在ではなくなっているように思える。
いろいろヒアリングをしてみた。やはり客の反応は鈍いようだ。アヴェンタドールよりむしろウラカン、ウルスが活発な様子。5000万円越えのアヴェンタドールは鈍く、3千万円台のウラカン、ウルスは大いに結構ということか。
しかしその中でもSVの中古車への動きが活発なようだ。おそらくSVJを逃した層がSVで妥協していると予想。SVは前型とはいえ値段は安定しており、やはりフラッグシップのスペシャルモデルという強さが見られる。
悲惨なのはアヴェンタS。値段帯は高額なまま、量産型ゆえプレミア感がない。ここにSVJ購入のためにSを保有していた層が一気に売りに流れる。こうなると値段を落とさなければ売り抜けられない状況に陥る。そして委託販売が多い高額車両はオーナーが値下げを渋る。こうして市場は飽和していくのか。いや、しかしこの流れ、SVJが原因とも思えない。おそらく販売数が飛躍的に増加した結果とも言えるのではないか。アヴェンタドールは純粋にクルマとして評価して買う層のほかに、一時の利益先送りのために買う層も多く含まれている。いろいろな思惑で購入され、その役目を終えたアヴェンタドールが続々と売りに出され、新車オーダーから納車までのリードタイムがグッと縮まった今、シビアな中古車購入層は新車価格と大差ない中古アヴェンタに魅力を感じなくなっている可能性もある。
中古車は数が多ければプレミア感は喪失し、値段は落ちる一方。そして中古車購入層はある一定ラインを超えると急激に購入意欲が失せる。1千万の壁、2千万の壁、3千万の壁のように。5千万円、4千万円台の量産型アヴェンタドールSに流れるくらいなら3千万台のLP700に流れるユーザーが多くなるかもしれない。こうしてSも堅調な値下がりにつながり、次期型が登場した暁には更に値をガクンと落とすかもしれない。アヴェンタはディアブロのような存在にはなれないのか。
この傾向はマクラーレンにも見られるようだ。値落ち幅はユーザーが怒りを覚えるほどだとも。スーパーカー全体の流通量が多くなったのは嘘ではないのだろう。なんだかこの数年がプチスーパーカーブームだったようにも思える。かつてのスパカ仲間が夢から覚めたように降りる人がここ最近多いし。以前数十名のスパカ仲間で形成していたグループチャットも今じゃ数名のレギュラーメンバーだけになった。これは何を意味するのか。
増産し、売らなければメーカーとして生き残れない。でも増えすぎればブランド価値を落とす。このバランスがとても難しいんだろう。もはやランボルギーニはマニアが好むメーカーではなく、一般に広く受け入れられるブランドになった。SVJ購入で少し浮かれていたボクも今じゃ冷めた想いだ。飽きたとも言えるかもしない。いや、飽きたと言いたいがために市場が飽和したという事実を作りたいだけかもしれない。要はもうスーパーなカテゴリにあるクルマ全体がどうでもよい存在になりつつあるということだ。あぁ虚無。次にボクは何を目指せばいいのだろう。