この記事は主観で書かれており、センシティブな内容を含みます。自己責任で閲覧下さい。

 

2019年新卒イベントが九州地方であった。今まではボクも顔を出していたけど、今回はチームに任せた。

優秀な社員に採用現場を体験させる事は下手な研修を行うよりもよっぽど効果がある。今がどれだけ人を呼び込むのが困難なのか、1人獲得するために企業はいくらのコストを割いているのか。そういうリアルを知れば、ブラック企業だの社畜だのという、企業ばかりを叩く労働至上主義的思想から逃れる事ができる。実際に採用現場を知った中堅社員達はたちまちに仕事に対する姿勢が変わった。

たくさんの企業が出展し、新卒者を呼び込むイベントは毎年各地で行われるが、予想通り今年は去年の3分の2にまで来場者が減った。新卒採用自由化の波はおそらく来年あたりから影響が出始めると思うので、今年の純減分は少子化の影響だと言えよう。社会に参加する人口が減るわけだから、企業は採用基準を下げて質の低い人材にまで内定を連発する。結果的に採用イベントに参加する人も少なくなったということだ。事実、ボクの会社を希望する学生ほとんどが既に地元企業の内定を持っていた。こんな事は過去例にない。

今の世の流れはとても危険だ。まるで日本経済が一つの惑星として、ブラックホールに自ら突き進んでいるようにも思う。人材獲得が困難と知れば、おおよそ価値のない人間に、高い報酬を提示してまで獲得に走る。ビジネスモデルに変化がないのに、人材コストだけが膨らみ続けるのは健全な企業戦略とは言えない。人事担当者は高い報酬で人を釣り、頭数を揃えればそれでコミットになるが、企業はその後低いパフォーマンスの人材に高額な報酬を払い続ける事になる。これが続けば社会に還元すべき利益はどんどん削り取られていくだろう。リストラによる人員整理は特効薬と言えるだろうか。いいや、無能な人ほどよく吠える。彼らを排除しようたって労働者に有利すぎる日本の法律がその道を困難にするだろう。

ボクは何年にもわたり、学生が社会に上がる節目に身を置いてきた。毎年毎年急速に変わりつつある人材の質を見ていると、今のボクらが少子化・人口減という未曾有の災害の真っただ中にいることがよく分かる。この中で戦い、生き残りをかけるには組織構造そのものを変えねばならない。なるべく管理コストをコンパクトに、人材は必要最低限に。国内でのリスクある投資は控える。一攫千金を狙うのではなく、継続性のあるビジネスを模索する。そして人材獲得の独自チャネルを持つ事だ。これは肥大化した大手企業よりも、フットワークの軽い中小企業の方が有利であるはずだが、残念ながら未だに旧式マインドを持つ経営層が幅を利かせているのが多い現状だ。これからの社会に会社を最適化するには経営陣が採用現場に自ら出向き、危機を体で感じ、抜本的な対策を生み出す事が重要だろう。人事担当者に出来る事はせいぜい高い報酬で人を釣ることくらいだからね。旧式の採用スキームなどもう何の役にも立たない事を知り、経営陣自ら解決に乗り出そう。