あなたが自ら脳にプラグを挿し、この世から去るのはいつですか?

AIの時代に突入してますよね。ChatGPTに始まり、今は様々なAI製品が出てきています。そのスピード、進化具合にはびっくりですよね。コンピューターの世界でいう進化は”徐々に”ではなく指数関数的な爆裂進化の事を指します。ゆえに、AIが人間の知性を超えるシンギュラリティはすぐそこだと言われて久しいですよね。

実際にChatGPTの最新版、ChatGPT-4oを多用しています。4oは全方位ということでテキストだけじゃなく画像・動画も扱えます。ボクの場合、ChatGPT-4oを使い始めてから1日、2日で完全に依存しました。どう使っているかを語り始めるとキリがないのですが、例えば自動車用ケミカルの勉強のために化学成分の調査や質問、欲しいカメラガジェットがどんな画質性能を持つのか、それに最適なレンダリングソフトウェアの書き出し設定は何かとか、粋な言葉の使い方とか、史上最強のたい焼きの作り方とかです。今までぼんやり思いついては消えていったアイデアをより解像度を高めてくれる。そんな存在です。

そして現時点で最強と言われている動画生成AIサービス「runway Gen3」を使い始めました。超ざっくり説明すると、指示した内容のリアルな動画を生成してくれる人工知能です。これにはハマりましてね、時間を忘れてAIとの対話にすべてのエネルギーを使いました。説明が難しいんですが、こういった何もないところから、何かを作り出すのを生成AIというんですが、特殊なスクリプトを記述する必要があります。つまり、作りたい動画を抽象的かつ具体的にAIに指示する必要があるのです。例えば「何もない真っ白い空間。黒いパーカーを着た金髪ボブの美しい日本人女性が虚ろな目でたたずんでいる。彼女の目は青く大きく透き通っている。顔にシワが一つもなく、顔立ちは欧米とアジア系がミックスされている。唇は赤く、表情は寂しそうだがどこか力強さを感じる。カメラは24mm広角レンズで、正面からズームアップしてうんちゃからんちゃら・・・」みたいな。これを英語で指示を出します。ぶっちゃけやってられじゃないですか。だからChatGPTに丸投げするんです。「runway gen3で動画を生成するためのスクリプトを以下の文で作って」みたいに。そうするとChatGPTが喜んでスクリプトを生成してくれます。

AIを思い通りに使うために、AIの力を借りる。なんのこっちゃですよね。ただこれが現実です。そうやって出来上がってきたのがこれらです。

いやなんか違うなと。そもそも日本人じゃないでしょうに。これは生成AIの主流が欧米であり、アジア系人種の学習が足りていないことが原因だと思います。こういった事を何度も繰り返します。

次はこんなのが出てきます。髪が白くなっちゃった。けどショートカットは実現した模様。目はしっかり青い。カメラワークはAIがうまく考えているようですし、横顔にフォーカスしていくのも映画チックでいいですね。これもスクリプトにシネマチックなカメラワークという指示を入れているんです。そして文字表現が失敗していますね。「decotamin」というロゴが入っていると指示したのですが、文字が重複しています。これはダメですね。あともう少し若い方がいいでしょう。やり直します。

今度は子供になっちゃった・・・。でも文字はうまく表現されました。これは”ロゴを入れよ”という指示を”文字を入れよ”に変えるとうまくいきます。AIは”ロゴを書け”だと抽象的に、”文字を書け”だと具体的に捉える傾向にあるようです。こうやってAIのクセを検証しながら見抜いていくしかありません。

これはカーギークス用のイメージで指示してみました。CARGEEKSという文字がミスなく表現されています。しかし足の露出が激しいのと、手の動きがついてるのはまったく指示していません。おそらく指示文からAIがベストな絵を想像した結果がこれなんだと思います。でも「シャッターが開いて、真っ白い空間に身を投じていく」という指示はうまく表現してくれています。優秀です。

しかしですね。ボクが思い描いているのは「どこか非人間的で、人種を感じさせず、誰をも魅了する人間のような何か」です。こうやって動画を生成して思ったのは、イメージをAIで具現化させるのはまだまだ難しいということでした。たくさんの時間と労力を使っても、ごみ箱行きのデータが量産され続けます。

これは高圧洗浄機を噴射して洗車をしているシーンを描こうとしました。AIが思う高圧洗浄機はメガホンのようです。これら一個一個に課金されるという地獄の中でボクはもがきます。

しばらくしてついに、思い描いていたものに最も近いデータが出てきました。このイメージのタイトルは

「どこか非人間的で、人種を感じさせず、誰をも魅了する人間のような何かが、真っ白いガレージでクランツレ高圧洗浄機K1122TSのスイッチを入れようとしている」

です。この元となるイメージはニーアオートマタの2Bというキャラから取りました。

人物は合格ラインに達しています。アンドロイドチックで近未来感があり、完璧です。ポーズもうまいですね。でも手の描写が失敗しています。生成AI全部に言えるのですが、人間の手の描写は苦手です。「ポケットに手をつっこんでいる」とかの指示を出して、指を描写させないほうが失敗が少なくなるでしょう。いやそれにしてもうまく描いてくれました。特に表情が素晴らしいですね。微妙な微笑みから睨みつけるようなしぐさ、そこからポーズを決める。生身の人間でも難しい表現です。ではこういった出力を現実的な成果物に落とし込んでみましょう。ボクの洗車動画との融合です。こうなりました。

是非、音声ONで再生頂きたく。AI生成動画と現実動画にミュージックとエフェクトを盛り込み、一つの動画を生成した事例です。うまく使えば自社製品のアピールや、PV作成、その他様々な事に応用が可能になると思います。

さて、うまく加工すればYouTube用に使えることは分かりました。でも完璧とは程遠いです。生成された動画のクランツレ高圧洗浄機K1122TSはただの箱となり、機種名は何故かデジタルで表現されて、”1”が異様に多いです。実際これは仕方ないのです、AIに特定のプロダクトを指示しても知らないのでうまく描けません。これは別で学習させる必要があります。さっそくAIにトレーニングさせてみましょう。覚えさせたいイメージを様々な角度から撮った写真をAIにインプットします。もともとのリアルなマシンは↓です。

かっこいいですよね。これは現実です。まだすべてを伝えれていませんが、ボクの魂込めて作り上げたオリジナルメイドのクランツレ洗浄機です。これをAIはどうやって描くでしょうか。

赤くなっちゃった・・・多分、学習させた画像のどこかに赤が強い絵があったからだと思います。やり直し。

なんか近い。質感もいいですね。細部までは再現できていないですが。

これはまた違う生成AIに(Adobe firefly)同じように指示したもの。創造性を感じますね。リアルさはちょっと弱いです。

そしてこれ。近いんだか遠いんだか良く分かりませんね。背景の指示はまったく出していませんが、工場が描かれています。AIが現場で使うHEAVY DUTYなマシンだと認識したのかもしれません。

と思ったら・・突如クルマにトランスフォームしてしまいました。もうなんか・・概念からして違う。

そしてこれ。もうすべての要素が吹っ飛んでしまいました・・残ったのは、全体に漂う”青み”だけ。クランツレは空気に分解されてしまいました。

何が言いたいかというと、生成AIは再現性が限りなく低いということです。つまり、最後に出会ったアンドロイドの彼女にはもう出会えないということです。この再現性の低さは普及の壁になりそうです。プロダクトの宣伝をAIで作る。AIで生成した人物をモデルにする。これらを容易に実現できないからです。しかしAIも再現性の実現には努力しています。各生成結果にはシード値という固有のIDが振られます。そのシード値を使って新たに動画を生成すると、近しいものにできるという仕様です。が、実際は同じ人物とはほど遠い描写になりますが、そのうち改善されていくでしょう。

AIがすべてをこなすようになる。AIが人間を超える。シンギュラリティはすぐそこだ。確かにそうかもしれません。しかしこれが現時点で世界最高峰レベルと言われる動画生成AIを使ってみた結果です。生成AIを使うために、別の生成AIの力を借りて、そこに多大な時間を費やし、理想通りの出力はゼロです。この結果と巷で言われている事のギャップをどう捉えましょうか。

AIが真の意味で人間を超える時はどこのラインかを考えていました。見方によってすでにAIは人間を超えているとも言えます。学術的な計算はいとも簡単に、設計・3D製作、文書作成、挙げればキリがないほどのことを瞬時に終えます。しかしそれは人間という指示を出す存在があって成り立つ事。AIだけがそこに在ったとしても、結果は何も生まれません。無から有を作り出すのが難しいのです。しかし人間には創造力があります。無から有を作り出す力です。この創造力は経験から生まれます。この世に生まれ、親と接し、土に触り、花の香りを嗅ぎ、自然の美しさと恐ろしさを知り、人間同士で触れ合い、イヤなことも良いことも、すべてが創造力につながっていきます。もしこの創造力をAIが得たとしたら、その時がシンギュラリティでしょうか。既にマトリックスは完成されているはずです。ボクは喜んで脳にプラグを挿すでしょう。

あなたが考えるシンギュラリティはどんな時ですか。それが実現された時、あなたは何を考えますか。人間を超える存在に出会う準備をしておきましょう。

あなたが自ら脳にプラグを挿し、この世から去るのはいつですか?”へ4件のコメント

  1. とも より:

    難しい話だったので、所々跳ばして読みましたが、デコタミンの服が気になりました。服もAIですか?

    1. ぜんせー より:

      すみません、こういうネタが好きなもので、だいぶ内容が偏ってしまいました。すべてAI生成ですよ、実写は一つもありません!

  2. 重鎮WEB系クリエイター より:

    ここまでリアルに作れるのですね。WEB製作を長い事やっていて、AIは興味がありましたが、これは早いうちに本格的に勉強しないと声がかからなくなりそうです。だめですね現状に慣れてしまうと。危機感覚えました。参考になりました!

    1. ぜんせー より:

      wordpressでランダムにコメントを取得したいと思ってプラグイン探してもないので、ChatGPTに聞いたら瞬時にコードが生成されてコピペで実現できました。こういうの見ると、今まで必死にプログラムしてた自分ってなんだったんだろうって思います。いずれにせよ私達WEB界隈はAIを使いこなしていくことは必須になりそうですね。

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