よく行くテニスクラブで「テニスをする子は成績が良くなる」という張り紙を見た。これについて、ボクなりの見解を述べてみたい。ちなみに何の保証もない。

 

集中力のない我が子供達と習い事の現状

息子たっちゃんだが、とにかく家庭内暴力がひどいんざます。パンチ、キック、手加減ナシだから大人でも受け止めるとマジで痛い。机に向かわせるまでにどれだけボクとマッキーは傷付けばよいのか・・。対して娘イッチーは机には素直に向かえど、うすっぺらーい集中力と思考停止状態で身にならず。こいつら・・どうしたものか・・・

ある時、落ち着きと集中力のない子供達を見てふと思った。コイツら・・もしかしてエネルギー余ってねえか・・って。要は、有り余るエネルギーが邪魔をして集中力を削いでるんじゃないかって事。まぁ安易な推測ですよ。

じゃぁ完全にエネルギー(体力)を使い果たしたらどうなるんだろう。いやでも、習い事でスポーツはやっているはず。エネルギーはそこで存分に発散してるはず・・

さっそく妻マッキーに聞いてみた。スポーツの習い事でヘトヘトになって帰ってきたことあるかと。

答えは「ない」だった。

 

うーむ・・。ボクはさっそく習い事を視察しにいった。

元気よくサッカーをやっているが、率直な印象。遊びの領域を出ないと感じた。何故もっとエネルギーを消費させないのか妻マッキーに聞いた。

「この年齢の、ほとんどの習い事は厳しくないわよ。子供がその習い事をキライにならないようにっていう配慮と、あまり厳しいと親からクレームが入る可能性があるからだと思う。」

 

うむ。これには納得。しかしそれで良いとはいかない。

 

テニスレッスンを外注するも・・・

何人かのテニスコーチにお願い事をしてみた。「どんなレッスンでもOKだが、子供のエネルギーを使い切ってくれ」と。

しかしその願いは叶わなかった。子供達はレッスンが終わっても体力を持て余した。レッスンが終わった途端、TV見せろ、何か食わせろ、パンチ、キック・・「レッスンどうだった?」と聞いても、「楽しかった」しか言わず、どんなレッスンをしたか既に忘れている様子・・こ、これでは単なる遊び・・。

コーチにワケを聞くとやはり「テニスをキライにならないように。」だった。

うーむ。お金を払い、遊びの域を出ず、更に体力を消費できないスポーツ教室。か・・

ここまで来たらしょうがない、自分でしばらく子供達にテニスを指導してみよう。教え方のノウハウなんて持ってないけど相手は我が子供達。なんでもOKだ。

 

たった1時間のテニスだけど、子供の体力を完全に使い切るように心がけた。遊び要素も一切排除し、ボク自身が真剣な態度で臨むようにした。娘イッチーと息子たっちゃんはとめどないボクの球出しに必死になった。やがて言葉を失い、目はするどくボールを睨みつける。汗がぽたぽた落ちるけど、意識は完全にボールに向いてる。疲れを忘れるとはこういうことだろう。テニスコーチのレッスンではここまでの表情をする我が子を見た事がなかった。

娘イッチーは自発的に体力の限界をボクに申し出た。しかし数分の休憩を与えると同じパフォーマンスを発揮した。イッチーは「汗がこんなに出たの初めて」と言った。

息子たっちゃんは疲れを認識できていないので様子を見てボクが球出しを止めるとバタっと地面に果てた。しかしやはり数分の休憩で完全に復活した。たっちゃんは「なんか胸のあたりがばくばくしてる」と言った。「今までそういうことなかったのか?」と聞くと「こんなの初めて」と答えた。

 

これで証明された。うちの子供達は、学校やちょっとやそっとのスポーツ教室では有り余るエネルギーを使いきれていない。

 

早速ボクは厳しい家庭内レッスンを何度か試みた。するとある時、妻マッキーが言った。

「なんだか最近、テニスの後は二人とも落ち着いて勉強するし、悪態もなくなった。寝つきも良い。」

 

なるほど。やはり推測は正しかったようにも思う。体に溜まったエネルギーは集中力を削ぎ、落ち着きをなくす。溜まったエネルギーを適切に消費してあげると、総じて集中力が高まり、結果落ち着いて勉強するようになった。

しかしツラいレッスンが続くとテニスをキライになってしまうのではないかとも思う。これについて子供達に聞いてみた。テニスコーチのレッスンとパパのレッスン、どっちが好きか。

回答は「テニスコーチ」だった。理由は「楽しいから」だと。「パパのレッスンは厳しかった」とも言った。

しかし更に続いて言った「でもやり切った感はパパ」。これは達成感はパパのレッスンにあったと言う意味だ。

「厳しいのに続けたいか?」という問いにも「続けたい」と言った。現に続いているし、子供達の方からテニスを誘ってくる。

 

ちゅうわけで、ボクの試みから分かった事をまとめてみると・・・


・集中力・落ち着きがない子供達はエネルギーが有り余ってる可能性が高い。

・親はもしかすると子供のエネルギーを低く見積もっている。

・子供のエネルギーは無尽蔵で、使い切ったと思っても更に奥に秘めている。

・ちょっとやそっとの習い事で奥に秘められたエネルギーまで消費させるのは困難である。

・厳しさやツラさで子供がその習い事をキライになるという考えは短絡的。楽しさを与えるよりもいかに達成感を与えるかが重要。

・深い達成感はツラさや厳しさを超越する。

・達成感もなく、ただ厳しい、ただツライだけだと子供はその習い事をキライになる。逆に厳しくなく、ツラくもなく、達成感もなければそれは単なる遊びとして子供の脳内で処理される(何も身につかない)。

・深い達成感を与えるには、エネルギーを使い果たし、脳内快楽物質を出させてあげる事がポイント。

・完全にエネルギーを使い果たせる習い事を探すのは難しい。パパレッスンが最も効果的。

・ヘラヘラした顔で習い事をしていたらそれは遊びレベルで子供は一瞬で習った事を忘れる。

・親は、子供が勉強できない、落ち着きがないからと言って小難しい事を考える前に、スポーツの導入を検討する。

・スポーツは幼少期から導入した方が良い。小学校高学年で非運動体質だと体が固まってしまっている。

・(もう一度)スポーツは幼少期から導入した方が良い。小学校という初めての集団生活で、身体能力の高さはアドバンテージになる。それが闘争心を育て、闘争心は強力な向上心を生み出す。そして学業にまで影響する。

 

じゃぁ次、テニスで実際に学力は向上したのか?について。


上記のまとめについて妻マッキーと話し合った。結果、娘イッチーを通わせていた流れ作業的なテニススクールは解約した(列に並んでただボール打つだけ)。また英語教室も遊び要素がふんだんに散りばめられていたのでより真剣な学校に切り替えた。

ほどなくして娘イッチーは英検に合格した。”10年後の自分”という作文には「テニス選手になりたい」と書いてあった。また、進学塾では席が成績順で並べられるが、異例の5人抜きを達成した。

漢字テストの点数がパパと同じところまで近づいた。※オレの漢字能力が低いんだけどな。

テニスで学力は・・・向上する。ただし、奥に秘められたエネルギーまで使い切って初めてその効果が得られる。

別にテニスじゃなくてもいい

ボクはスポーツはテニスしか好きじゃないテニスしか知らないし、テニスしか語れない。けど、おそらくどんなスポーツでもOK。重要なのはエネルギーをしっかり使い切れる事。例えばエリート一族、ミート家は・・

・・・ウチはバスケとサイクリングだよ。よく子供と自宅から空港までの長距離をチャリで走ってるぜ

 
 

テニスが持つ優位性


他のスポーツは知らないから、テニスびいきで書く。

テニスは反射神経、瞬発力、持久力、頭の回転、ラケットを使い切る器用さ、幾何学的思考が求められる。テニスは瞬時に最大限の力を発揮する必要がある。1人、2人でも充分にレッスンができる。1時間ほどのレッスンで、極限を何度も迎えられるため、時間的コストが安い。

また、ラケットというツールと、小さなボールは子供の興味を惹きつけやすい。

親にテニス経験がなく、それでも家庭にテニスを導入したいと思った場合でも、スクールやコーチを雇うのが他のスポーツに比べて容易。また年齢関係なくいつでも始められる。

テニスを真剣に始めた途端、食事制限によるダイエットや健康診断の数字とは無縁になる。技術向上を目指すだけで、体は勝手にあるべき姿に変わっていく。それも猛スピードで。しっかり食べないと痩せすぎてやばくなる。(ボクの場合は2カ月で体重7kg減!でもすごい元気!)
 

テニスの難しいところ


テニスは習得難易度が高い。初心者は相手コートに返すのがやっと。楽しくなるまで時間がかかる。ツライ初心者レベルを乗り切ればテニスが持つ依存性に飲み込まれる(※ほとんどの初心者は初心レベルで離脱してしまう)。ラリーが続くようになると打ちたくて打ちたくてうずうずしてくる。

コストがかかる。ラケット(3万くらい)、ガット(6千円くらい)ウェア(様々)、シューズ(1万円くらい)、スクール(月1万から)。プライベートコーチを頻繁に頼むと、ぶったまげた出費になる。日本一高い品川プリンスのテニスコートでプライベートコーチまで付けると2時間で5万円の出費!

スポーツは学業とより良い人生を築かせるため

プロになる必要なんてない、でもただ一つ、幼少期から生涯において真剣に打ち込める何らかのスポーツを与えておくのは重要だ。スポーツは良い体を作り、良い体には良い精神が宿る。スポーツは・・何も親が難しい事考えなくても、子供達の人生を勝手に、より正しい方向へ導いてくれるのかもしれない。

 

※あくまでぜんせー家の事例です。