ネオクラシックベンツW126 560SECにコンバーチブルモデルが存在する。日本には正規輸入されなかったが、有志達の手により一定数が並行輸入された。
日本ではレア中のレアで、もし程度の良いものがあれば一体いくらの値段が付くか分からない。
そんな560SECコンバーチブルをここアメリカで発見した。広大なアメリカなのに都合よく自宅から30分のところに眠っていた。さっそくオーナーにコンタクトを取る。

所有者はビバリーヒルズの隣町ブレントウッドに住む。成り上がりに好まれるビバリーヒルズに比べて、代々財を築いた真の富裕層が多く住む町だ。
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アメリカの高級エリアは丘の上にある。丘を上がれば上がるほど地価は高騰。彼らは下界で必要なものを調達し、天上界でその余生を穏やかに過ごす。
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持ち主のジェームス宅へ到着。家がでかすぎて写真に入らない。案内してくれたのはプライベートアシスタント。富裕層エリアではこういった、資産管理を任せたり生活に関するサポートを行うアシスタントを雇う傾向がある。
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乗らなくなって5年。カバーをしただけで外に放置してしまった模様。
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それゆえ程度は悪く、内装は朽ち果てている。
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もしこのクルマを現役として復活させるなら多額の費用がかかるに違いない。もうこのあたりのクルマはお金持ちじゃないと手が出せないなぁ。
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機関系も死んでいる。と、思いきや。
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表面の汚れだけで中は意外とキレイ。内装のフルリペアと、消耗品の交換だけでおそらくこの560SECは現代でも充分に輝ける。
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プライスは16000ドル。約170万程度。レストアベースと見てもそこまで程度が悪いようには感じない。既に5名のコレクターが現車確認に訪れたという。ま、いないと思うけど、もし日本で欲しい人がいたら代理で買います。
所有者のジェームスも顔を出してくれた。60代前半だろうか。がっちりした体形で、知的な雰囲気。白人の街。その丘の頂上に住む彼はボクの質問に少しめんどくさそうに答える。でもボクがネオクラシックベンツ好きだという事を知ると、笑顔に変わった。
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治安が悪いアメリカだけど、成功者達が築き上げた街はとても美しく、この地に少し身を置くだけで穏やかな気持ちになった。ジェームス家の人々は得体の知れないアジア人が自宅にいるのに、笑顔で声をかけてくれる。どこかこの一家には貴族を感じさせる佇まいがあった。
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素晴らしい景色を後にしてボクは下界に降り、大好きなチェーン店パネラブレッドのクラムチャウダーとシーザーサラダを注文した。
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今のボクには下界の大量生産品で十分だ。
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丘の上からフルノーマルの560SELで下界に降りる。そういう自分を目指して今がんばろう。