ケーニッヒ社にいろいろ聞いてみた。W126ケーニッヒベンツについての調査レポート

さぁてケーニッヒベンツのネタを少しまとめてみたい。もしこれからケーニッヒベンツを作る場合の参考にしてほしい。ところどころドイツにあるケーニッヒ社の”オリバー・ケーニッヒ氏”とのやりとり原文を掲載しておく。

日本いや、世界レベルで見てもケーニッヒベンツが欲しい人というはそうそういない。でもたった一人でもいれば有用なレポートになるはずだ。

何を持ってケーニッヒベンツというか

[clear]
当時のケーニッヒはチューニング屋。今はパーツ販売レベルまで落ちている。派手なエアロと極太タイヤ、そこにスーパーチャージャーやターボを搭載したコンプリートマシンを販売していた。(※コンプリートマシンにはコーションプレートが付与されていたようだ)

当然エアロだけ、ホイールだけ、ターボキットだけのバラ売りも行っていたため、今となっては何を持ってケーニッヒベンツというか曖昧になっている感いなめない。厳格にいうなら、ベース車両がケーニッヒ社に持ち込まれ、ケーニッヒのエンジニア達でゼロから作られ、最後にコーションプレートが付けられたものがケーニッヒベンツと名乗ることができ、それ以外はケーニッヒ仕様と呼ぶのが妥当かもしれない。

市場に出ているほとんどの車両はケーニッヒスタイルつまり仕様

ボクが購入した560SELケーニッヒは89年式の560SELをキャラット社(内装やカスタムを手掛けるビルダー)が手をかけている。そのキャラット560SELにケーニッヒエアロ、ホイールを移植し、スーパーチャージャーを追加したものだ。

ほとんど市場で目に付く(ほとんど市場にないけど)W126ケーニッヒはこういった仕様のものがほとんどであると言える。

仕様でも高い評価

通常のW126の車体に比べて、ケーニッヒスタイルでまとめられている車両は高い相場で取引されている。ここ数年、W126ケーニッヒ仕様が300万を下ることはないが、素のW126で300万以上の価格が付くのは程度極上のみに絞られる。例え仕様であってもケーニッヒエアロ、ホイールつまりあの雰囲気そのものをユーザーが評価していると言えよう。

ケーニッヒの偽物・本物の見分け方


基本ニセモノ(エアロね)はペラッペラでわずかな走行でも割れると言われている。本物はガッチリと作られており、エアロにもKOENIGという文字がしっかりと形どられている。しかしそうであっても出来の良いニセモノの可能性も否めない。でも大丈夫、明確に区別する方法がある。これは長くなるのでまた別途記事にまとめよう。

ケーニッヒ社が手掛けるコンプリートマシン。今から作れるのか

ボクはクーペ(SEC)よりもセダン(SEL)の方が好きだ。もし今でもSELのコンプリートマシンが作れるなら是非とも手に入れたいところ。さっそくケーニッヒ社に確認をしてみる。

原文
Unfortunately not. As mentioned nowadays we can only offer body parts for the coupe. The parts for the limousine can not be produced anymore as molds were given up and destroyed more than a decade ago.

In addition to this we gave up our workshop and only deliver parts and kits these days. Any work is done in close cooperation with our suppliers (partly our fomer, now self employed engineers) at their workshops.

Oliver Koenig

ワークショップは閉じてしまった。今はクーペ(SEC)用のパーツやキットの販売しかできない。リムジン(SEL用)の型は廃棄した。もしその他の作業(取り付けとか)は元従業員などと密に連携を取って進める。

とオリバーは述べている。それに・・

 

[fontsize size=”7″]SEL用のマスター型(エアロ)は廃棄した[/fontsize]

 

って・・さらっと言うなよ。傷ついたよオレ。もう・・・SELの素の車体を持ち込んでコンプリートマシンを作ってもらうことは[fontsize size=”8″]不可能だ。[/fontsize]工場は閉鎖かぁ。致し方ないところだね。もう時代に必要とされてないもんなぁ・・

でもSELは無理でも、SECは作れるのかな。

If you plan to modify a W126 SEC I might have an interesting proposal for you. We have just sold a body kit Version I and if you should be interested in buying one short termed, I could negotiate with the supplier about a discount and offer you a special price. But that would have to take place this month probably, latest April.

Oliver Koenig

もし君がSECを作るなら良い提案がある。私たちはちょうどいまバージョン1のエアロキットを売ったばかりだ。すぐに注文をもらえるならサプイヤーにディスカウントをもらえるように交渉が可能だ。

つまり、SECはまだ型が残っており、現状でも新品を作っているようだ。SELは廃棄したのにSECは残してるんだね・・。しかも安くしてくれるなんて・・欲しいじゃねえかケーニッヒ。しかしエアロだけじゃケーニッヒとは言えない。もっとも特徴的な極太アルミホイールが必要だ。

You are right, we do deliver custom made BBS wheels these days, design like this. They are handmade by the racing department of BBS who we used to work with both for tuning and racing.
Quality is excellent, price is round about EUR **** (maybe a bit less, EUR **** in 2017) exact price and time of delivery has to be verified with supplier.

Oliver Koenig

BBSは提供可能だ。それはBBSのレース部門で手作りされている。クオリティは素晴らしい。納期はサプライヤーに確認する必要があるが。

ほほう、オリバーはホイールも提供可能だと述べている。なかなかテンション上がるじゃねえか。でもな、ケーニッヒスタイルのホイールは15インチじゃなきゃオレは認めん。それにメッシュデザインもな。そこらへんまで完璧に再現してくれるのだろうか。

In the past (last 2017) we could still order wheels in original size (15 inch) – but not with original design (compare picture I have sent you).

2017年時点ではオリジナルのスペックで15インチは製造できた。が、オリジナルのデザインではない。

なるほどぅ。ホイールは作れるが、当時もののデザインは不可能ってことか。無念。

スーパーチャージャーは純正なのか

[clear]
ボクが手に入れたケーニッヒベンツにはスーパーチャージャーが搭載されている。が、どうも機能していないという噂。まだ手元にないからなんとも言えないけど、仲間伝いに探っていった。そこで得た答え。ボクのケーニッヒベンツのスーパーチャージャーは元オーナーが日本で取り付けしたものだ。スーパーチャージャーキットは日本の代理店から仕入れたが、完璧な状態になく、ベルトは回るが、本来の力を発揮していないと。(取り付けた職人談)

つまりボクのケーニッヒベンツにはよくわかんねースパチャキットが搭載されているってことだね。ええもちろん外しますとも。よく分からないものはいらないっす。でもせっかくだからちゃんとしたスーパーチャージャーキットでエンジンを組みなおしたいよね。さっそく聞いてみよう。

We received information about supercharger-kit for W126 560 SEL.

According to supplier it is still available. Price would be EUR **** ex works plus sales tax (not if exported ex EU).
As their engineers are very busy lately production time would be appr. 10 – 12 weeks.

Oliver Koenig

サプライヤーによると、まだSEL用のスーパーチャージャーは手に入る。エンジニアは最近とても忙しいから、製造するのに10~12週間を要するだろう。

へええー。まだ新品のスパチャキット手に入るってな。すごいぜケーニッヒ、じゃなくてアルバート!

しかしこのスーパーチャージャー、もともとコンプリートマシンで提供されていたオプションなのだろうか。ネットを見ると諸説ある。真実はどこに。よし、当時のW126コンプリートマシンにスーパーチャージャーは設定されていたのか聞いてみよう。

Good question. Albert had been our supplier at that time. It might have been a complete conversion at our facilities at that time. But it´s also possible that we had delivered both body parts and compressor kit to a workshop abroad and work had been done there.

Oliver Koenig

良い質問だ。アルバート(スパチャのメーカー)は当時我々のサプライヤーだった。もしかしたら当時我々の工場でコンプリートコンバージョンをしたかもしれないし、エアロとコンプレッサーキットを海外に送って、そこの工場で取り付けたかもしれない。

ほぅ。当時からスーパーチャージャーキットを付けたコンプリートマシンは販売していたと言える。これは結構重要。何故ならネット上にはW126のスーチャー仕様はコンプリートとして存在しなかったと述べている記事があるからだ。

もう一度。コンプリートマシンは今から作れるのか

作れる!しかしSEC(クーペ)に限る!そして当時のスタイルを完全に再現することは不可能!なぜならホイールが当時デザインを再現できない!厳密にいうと、BBSが作ってくれない・・

ちなみに当時デザインのBBSディスクを買って、リム特注でええやん。ってなるかもしれないけど、ケーニッヒ社から本物証明書が出ないことに留意すること。※ケーニッヒ社はパーツ一つ一つを管理している。

そしてケーニッヒはSELのエアロを型ごと廃棄しやがった!もうSELの新品純正エアロが出ることは永遠にない![fontsize size=”9″]あばよSELケーニッヒ![/fontsize]

ぜんせーの考察

ケーニッヒは不況の波にやられたのか。世界の需要減に打つ手はなかった。衰退し、今はパーツ販売に落ち着いている。当時の人気で得た利益でゆっくり暮らしているのだろうか。オリバーからはビジネスに積極的な空気を感じられなかった。ちなみに当時人気だったキャラット社は見事に最新型マシンのカスタムに対応し、今も元気に商っている。

SECとSEL。今も昔も人気はSEC。クーペ故、趣味車として需要があったんだろう。ケーニッヒ仕様も圧倒的にSECのほうが多く見かける。そのため今となってはSELの方が希少性を増している。もし市場にSELのケーニッヒが出ていたら速攻でGETしたほうがよい。エアロ、特に当時物のホイールを手に入れる事は困難だ。迷う時間は許されないだろう。

SECが欲しい人は急がなくてもケーニッヒ社に言えばそのうちエアロを作ってくれる。ホイールも当時物を探すよりは、ケーニッヒ本物証明書付きの現代デザインBBSホイールのほうが良いかもしれない。

ケーニッヒは狭い狭いニッチマーケット。誰も欲しい人なんていやしないって思うじゃんか、でもね、大衆の目につかないところで激しく取引が行われているんよ。みんな日本全国探し回ってるし、ひとたび出物があればあっという間に買い手がつく。例え朽ちたボロ車であってもだ。一部のユーザーに今も熱い想いを抱かせるケーニッヒ。その世界観は今も生き続けている。

再評価されるかケーニッヒ

もしSELケーニッヒを作る場合、既に今流通しているものを手に入れるしか道はない。SECの場合は最悪ベース車両さえあれば作ることはできる。しかしこのベース車両。近年激しい値上がり傾向。しかも良いタマは海外に持っていかれもはや日本にはスクラップ間近の車両ばかり。こういう環境下でケーニッヒを起こす事は至難のわざ。もし完璧なケーニッヒスタイルを目指すならとにもかくにも資金力が必要となるのは間違いない。それでもきっと世界のネオクラブームは日本にもそのうちやってくる。今から完璧なものをコツコツ作っていけば、とっても価値あるものだと認知される事をボクはねがってやまない。

SELケーニッヒは一日一日と朽ちてゆき、現代から完全に失われつつある。ボクは完璧な姿でSELを現代に蘇らせよう。素晴らしき80、90年代ケーニッヒベンツ。現代の量産型スーパーカーを駆逐せよ。

ケーニッヒ社にいろいろ聞いてみた。W126ケーニッヒベンツについての調査レポート”へ6件のコメント

  1. しみたむ より:

    はじめまして。毎日とても楽しませてもらってます。
    なんというマニアックな記事、素晴らしいです。

    10年以上前、僕が高校生のとき、W126やW124の
    AMGやケーニッヒやキャラットのベンツに衝撃を受けました。

    佇まいが怖すぎて、乗っている自分を想像できませんが
    560の記事など見ているうちに、きれいなW126に興味津々です。
    本当はブルーブラックのAMG3.4クーペ、セダンなどほしいですが、本当にタマがありませんね…

    今はGクラスショートに夢中ですが…
    とにかくネオクラベンツ特集ありがとうございます。

    1. ぜんせー より:

      はじめましてコメントありがとうございます!なるほど、やっぱり怖いというイメージがあるのですね、560はいいですよ、W124ももちろんいいですけどね。趣味車としてなら560はオススメっす。

  2. ジムニーシエラちゃん より:

    ぜんせーさん
    こんにちは。

    ケーニッヒの現状レポート、楽しく拝見致しました。
    ありがとうございます。

    時間とお金をかければケーニッヒにまだ乗れるって素晴らしい事ですよね。
    当時、凄い金額がケーニッヒ社に集まったんだろうなぁとかボンヤリ考えちゃいました。

    1. ぜんせー より:

      楽しんで頂けてよかったです。ケーニッヒ、まだまだ現役ですよ。

  3. koenig440 より:

    こんばんは!素敵な記事を楽しく読ませていただきました。
    ケーニッヒを乗っていた方々に聞いたことあります。
    コーションプレートや鑑定書は外して売りに出すと。
    記念品としてコレクションされるようですね。

    1. ぜんせー より:

      あざっす!コーションプレート付きのほうが高く評価されるのに取り外しちゃうんですのぅ。でも気持ち分からなくもない

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