焼肉A店とB店があります。二つの店は隣接したところに位置しています。コロナ前はどちらも客入りは上々でした。

コロナによる緊急事態宣言を受け、A店は営業を自粛。B店は変わらず営業を続けていました。

今現在。A店は営業を再開してるものの客は戻らず、常に閑古鳥が鳴いている状態です。対してB店は客入りが増加したように思います。日曜の深夜帯でも満卓が続いているからです。ちなみに価格帯はA店もB店も変わらず。しかし味はA店の方が上でした。

このB店はコロナ下であっても何か施策をしたわけではなく、「いつも通り」を貫いているだけのように思います。つまり変化を起こさなかったということです。行政の給付金には目もくれず、人のいなくなってしまった街であっても粛々と営業を続けていたのです。結果、B店は今も繁盛を続けています。対して行政の指導に従い営業を自粛、その後再開したA店には客が戻りません。正直者がバカを見る。そういう事でしょうか。

そういえばコロナ前は毎日、大手チェーンのカフェに行っていました。しかしカフェも緊急事態宣言で営業自粛です。もちろん今は再開していますが、営業時間は短くなり、行きたい時に開いてないという状況です。
しばらくするとカフェに行こうという意識が頭から消え去っていました。今は毎日コンビニでコーヒーを買って、アルファードの中で飲んでいます。慣れてしまうとこれで満足できちゃうんです。消費者は一度習慣化されると、それに支配された生活を送るようになるんですね。軽飲食店の経営のキモはこの”消費者の生活習慣”の中にお店を組み込んでもらうことが重要なのかもしれません。どこにでもある小汚い中華料理屋が生き残り続けるのってこういうことでしょうか。

今まで入れたお店がいざ訪れたら開いていない。この事実は消費者の行動を根本から変えてしまいます。徹底的に自分達で定めた営業時間を守る。雨が降っても風が吹いても人がいなくても店を開ける。生き残って繁盛しているお店からはそういう気合を感じました。

残念なことに、よく通っていた料亭の撤退が決まりました。料理長がアポなしで会社まで挨拶に来てくれたのです。とても暗い表情でした。でも思い返してみると、その料亭も早仕舞いしたり、休んだりと不安定な営業スタイルでした。しかしここでも、いつも通り営業を続けていた隣接する別の料亭は今も黒塗りのハイヤーが列をなしているんですよ。露骨な結果ですねぇ。

ここ最近の採用活動の中で、応募者の中から一定数「リモートワークできますか?」と言った質問が来るようになりました。ボクらは一貫して、「行っておりません。その予定もありません。」と答えます。雨が降っても風が吹いても、今までの経営スタイルは変えない。B店のように生きよう。