なにがどうしてこうなった。 
 
うちは開発会社で多数のクリエイターにより結成される会社だ。積極的に受託開発を受けるワケではないが、たまにノウハウ蓄積のために、空いた売り上げ目標コミットのために、相談があった案件を受託している。 
 

約2カ月にわたって行った案件があるのだが、ここに来てクライアントが全支払いしないという意思を表明してきた。そこに至るまでのプロセス一つ一つを精査するワケにいかないが、双方に言い分があるのは当然だ。それを踏まえても全支払いを飛ばすというのはおおよそ同意しかねる。どんな理由があれ、多数の人が動き、納品している以上、交渉は認めど、全支払いを飛ばす行為は先方の商取引における倫理感を疑わざる得ない。 
 

クリエイター界隈で結成されるコミュニティではこのモンスタークライアントに関するネタに困ることはない。トラブルは個人のクリエイター対、小規模で、外注経験が少なく、殻に閉じこもってビジネスをしているクライアントで発生するケースが多いように感じる。 
 

今回発生した問題は非常に頭の痛い問題だ。すでに顧問弁護士との協議は行われており、裁判に持ち込んでも会社の妥当性は認められそうだ。しかし単金が小規模すぎて両者にとって何も意味のない消耗戦になりうる。勝ち取ったところで訴訟費用を加味すると泣き寝入りした方がコストがかからないということだ。誰も好き好んで赤字を量産しにいくことなどしたくないからね。しかしこれでいいのか。とも思う。 
 

結局数日悩んだが、やはり訴訟を行うことにした。例え消耗戦になろうとも、クリエイターたちが汗水流して作り上げた物をだまって放棄することなどできない。損失を作ってでも守るべき事があるかと言われればコレだ。クリエイター達の権利を守る最後の砦として会社上層部は機能するべきだ。例え相手が上場会社だろうとボクは嚙みつくだろう。主張はする。ジャッジは公正な機関にゆだねる。そしてその結果を尊重する。勝っても負けてもどっちでもよい。答えを出すことが重要だ。あぁほんとはボク裁判大好き。キレイ事かもしれないが、システマチックに人を雇用して、用がなければ首を切る。そういう会社にならないためにも、人が行った仕事に対する評価は適切に行いたい。それでは大手にも勢いのあるベンチャー企業にも名を連ねることはできないかもしれないが、働く人が健やかに、当然の権利が守られ、最大限のコミットを出せるような会社作りをしていけばおのずと道は開ける。ボクはそう信じて今日も残業する。