
以前、アヴェンタドールS・ロードスターのルーフ手動開閉がクソだと書いた。2分割されたルーフを手で持ち、気を許せば落としてしまいそうな大きいルーフの開閉機構は男性ユーザーしか見てないようにも思える。やはりこの手動開閉プロセスは微妙だとボクは言い続ける。
しかしルーフのない、オープンなアヴェンタドールがそうかと言えば違う。
日頃の寝不足と度重なるトラブルと圧力に精神が根を上げそうな時、だれでもあるでしょう。心に曇りが生じても、それを消しさる術を人間一つ以上は持っていたほうが良い。台風の暴風圏内をようやく出ようかという先週末、天気予報は雨60%。しかし空は雲一つない快晴だ。娘のピアノ発表会に寝坊してボッチとなったボクは意を決してアヴェンタをオープンにして走ってみた。
まずガソリンを給油しよう。みるみるガソリンが減っていくアヴェンタは、一歩間違えば立ち往生さ。いつも余分に、早め早めの給油を心がける。
アヴェンタドールSから適用されたこの多段構成のフロントスポイラー。マットな塗装ほど主張されて見える気がする。ま、どうせドライバーからは見えないんだけどな。
さて、心が曇っているのは他でもない。ボクだ。すべてが思い通りにいかず、やりたいこととやらねばならないことが裏腹な現状に憂いていた。
走ってみたよ。そういえば快晴で過ごしやすい日をオープンで走るってのはこれが始めてだ。少し上を見ればレインボーブリッジが思いっきり視界に広がるよ。
ひゃっはー!すぐ背後にはスポーツモードで勢力を増したV12エンジンの排気音。バックファイヤーの破裂音は一般道では御法度なレベルさ。ノーマルでここまでの音にもってきたランボルギーニに祝杯を挙げたい。もはやアヴェンタドールSに社外マフラーの出る幕はないだろう。ランボルギーニはクルマ屋じゃない、最高の楽器屋だ!
ほどよい暑さに雲一つない空、V12NAサウンド、うむ。ボクの曇りはアヴェンタドールがいとも簡単に消しさり、明日への活力さえ与えてくれる。
コンフィグ当初の思惑通り、オープンにしたときの内装色はアクセントがかかって良い感じだ。自分の選択にとても満足している。
センターコンソールの黄色はアド・ペルソナム仕様。つまりカスタム仕様だね。ここもドアを開けた時のアクセントになっていて気持ちが良い。
確かこのドアの内張は標準だったのか、カスタム仕様だったのか忘れた。が、魅せるアヴェンタドールとしてはここにアクセントがあることも大事。
「あ、こいつガラスフードじゃない。オプション選択する金なかったんだな。」って思われてもよいだろう。それは事実だから。しかし最終的にガラスフードオプションを付けなかったことに満足している。だってほら、バットスーツの腹筋みたいだろ。本望ってヤツよ。いや見る人によってはゴキのようだとも。
実際このステアリングには不満を持っている。なんだか安っぽい。それに太さも足りない。AMGの太巻きのステアリングがうらやましい。SVのステアリングのセンターアクセントが選べたらもっとよかっただろう。
メーターパネルだ。フルデジタルな。ある回転数に達するとバルブが開き、マフラーから重低音が鳴り響く。かなり引っ張ってるつもりでも実は5千回転くらいだったりする。レッドゾーン近くまでまだ回してないが、おそらく耳をつんざくような高音に達するだろう。
内装はカーボンオプションを選択した。これはコンソールパネルのカーボン。
これはドアのカーボン部。がっちり装着されているように見えるが、触った感じ、取り付けの甘さを感じる。
サイドシルもカーボンだ。以前のLP700アヴェンタドールはカーボンオプションが付いていなかったので今回選んでみたが、実際納車されてみると、特にカーボンである必要性を感じない。
これはセンターコンソールに設置されるスモーカーパッケージオプション。つまり灰皿。しかし灰皿としては使わない。ちょっと小銭入れたり、携帯立てておくのに便利だ。・・と、言いたいところだけど今のところ使っていない。
だってな、カード入らないし・・スマホ立てても吹っ飛んでくるし・・これもいらないオプションだった。
センターコンソールをカスタムして黄色スウェード革で仕立てられている。視覚的なアクセントとしてはよいが、肘を置く場所でもあるので、毛玉が出るような服だとくっついてしまい、取り除くのが大変だ。まぁ実用性を追求していない以上あきらめよう。
いつもの場所で休憩。最近のカメラマンは堂々とクルマの目の前に出てきてシャッターを切る。普通に声をかけてくれれば指示通りに動かすんだがのう。
ほんの少しの走行でも元気が出た。アヴェンタドールの咆哮は、なにかこう、内側から強制的に
元気を引き出されるような感覚。それにはシングルクラッチのギクシャク感が多いに貢献しているのかもしれない。スカっとトルクが抜け、ガコンっとギアが変化し、再度重低音な低回転から高音を奏でる一連のプロセスはデュアルクラッチにはやろうにもできないはずだ。デュアルクラッチでないからアヴェンタドールを敬遠してた人は再考すると良いだろう。
さて、屋根を閉めよう。ルーフの2枚はトランクに固定され、しまわれている。
順序も決まっているよ。閉める時は助手席側から取り付ける。ルーフは取っ手があるわけでもなく、滑りやすい。そしてマットカラーの宿命。素手で触ると皮脂がついてムラとなる。どうしろってんだぃ。
助手席のルーフをつけた後は運転席さ。手順は一緒。覚えてしまえばなんてことないが、やはりそれなりの重量があるルーフを持ち上げ、取り付ける時は気を遣う。ぶつければ一瞬で傷になるからね。
装着完了。ちなみにとなりの黄色アヴェは友人のだ。スパカオーナー達は群れを組む。これは自然の摂理だ。
このように、直接素手で触った場合はムラになる。これがなかなか取れない。マット塗装のデメリットなところだろう。
普段は滑り止めのグローブを付けて開け閉めを行うようにしてる。走行後は乾いた布で拭いてムラを消す。この布はランボ麻布が納車時にくれたもの。特別な布なのか?と聞けば、いえ、普通にそこらへんで売ってるものです。と。
確かにルーフ機構は微妙だけれども、オープンとして走るアヴェンタドールは格別な快感をもたらせてくれるってことだ。便利さと快感さはトレードオフと。そう言いたかった。オプションとしてロードスターを選択する価値、きっと充分にあると思う。しかし剛性は弱まることは覚悟しよう。段差をゆっくりと越えた時に、ボディがメシメシ言うよ。
その後、ブロックチェーンの勉強会に出席した。投機的な仮想通貨に興味はないが、それらを支えるテクノロジーには興味がある。中盤はついていけど、後半のファイルシステムの話になってまったくついていけなくなった。やれやれ。生涯学習だな。一転して難解な技術の世界に放り込まれ、またしてもボクの心は曇った。さぁて、いっちょ爆走してやるか。あらゆる問題を過去へすっ飛ばす。それがアヴェンタドールS・ロードスター!