さて、病室隔離になった。先に述べたように環境は良い。そしてご飯がおいしい。ドクター、看護師、医療関係者すべての人柄が良い。

病室に入り、まずは血液の採取だった。ベットに横たわった状態で手際よく終わらせてくれた。そのあと胸のレントゲンを撮る。しかし私は感染症のため病室からは出られない。ならどうするか。そう、レントゲンが私のところにやってくる。大きな台に大きなレンズが乗っかっている。私はベッドから一歩も動くことなくすべての事が終わった。

1時間後、ドクターがやってきた。肺はキレイである。つまり肺炎になっていない。血液検査も正常である。つまり、何もない。ただPCR陽性というだけだ。いやでも、熱がある。微熱だ。37.2度くらい。これはコロナの症状なのだろうか。ドクターはコロナと関連づけたそうにはしているが、自分の体の事はよく分かる。私は寝不足が続くと微熱が出やすい。この程度の熱だとそれに起因する可能性が高い。一応その旨をドクターに伝えたが、形式上、症状発生日が本日ということになった。しかしその熱も数時間後の昼寝後には収まっていた。

翌日。起床後自分で血圧、酸素量、体温を測り記録する。すべて正常だった。熱は36度台前半を指していた。その後看護師が検診に来る。聴診器で胸の音を聞く。具合を尋ねられる。何もないとしか言えない。通常通りの何者でもない。だが、今日いきなり体調が悪くなるかもしれない。そういう不安がまだ残っている。しかし時間が経つにつれ体力が回復してくる。相変わらず数値は正常値のままで、悪くなる兆候は見当たらない。それどころか、規則正しい生活、充分な睡眠、良い食事。今まで以上に具合がよくなっていくのを実感する。

こういう状態であっても退院はできない。一定期間の隔離措置が法令によって決まっている。その隔離措置は日々アップデートされる。私が入院している間で規制が緩和された。PCR陽性であっても症状がなければ10日の隔離で退院することができる。
ちなみにPCRは非常に精度が高いので、微量なウイルスにも反応してしまう。症状はまったくないのに2週間、長くて3週間、1カ月くらい陽性反応を示すそうだ。例えPCR陽性でも、症状がなければ人には移さないらしい。いずれせよ、退院までの道はまだ遠い。

ドクターと話をしていると、このオミクロンの特徴がよく分かる。陽性者のほとんどが私と同じような状態にあるようだ。つまり、無症状。しかし、それはワクチンを2回接種している人達。ワクチンを接種していないと、38度から39度の高熱、身体中刺すような痛みがある人が多いと聞いた。そう思うと、オミクロン株はワクチンが普及した今だからこそ軽症と言えるのであって、無防備であればそれなりの症状を引き起こすウイルスということか。うーむ、ワクチン。重要です。