メルセデス・W126 560SEL ケーニッヒのこれから

ケーニッヒベンツの第一回目整備が明日終わる。今日はそわそわしちまうな。

お願いしているプロショップ、「セントラルオート」はボクがお願いした細かいところから、ブレーキ周り、サンルーフ、そしてスーパーチャージャーまで復活させてくれた。しかも短期間に。素晴らしいショップに出会えた事に感謝だ。そしてボクの素人的希望をすべて翻訳して職人とやりとりしてくれているネオクラ専門店blowにも頭が上がらない。ボクがやることといったら一生懸命働いて稼ぐだけだ。

これからの大まかなケーニッヒベンツレストア目標を掲げておこう。

最終目標はLAに輸出してアメリカの大地で走る事。それに耐えうるクオリティまで持っていきたい。ボクは日本の狭い文化が嫌いだけど、実直で仕事に一心に打ち込み、何日もかけて1mmのチリと格闘する職人が大好きだ。だからケーニッヒは日本の職人さんで完璧に作りあげたい。そしてジャパンメイドのケーニッヒとしてカリフォルニアでオラついてやろうと思う。まず機関系の整備。その後内装リペア、すべての機能の完動、レカロシートの取り付け。

そこまで済んだら機関系は予防整備に入る。変えられるとこはどんどん新品パーツに変えて行く。

最終仕上げは板金だ。ケーニッヒエアロの取り付けはノウハウが必要だし、生半可なクオリティだとすぐに割れる。あるケーニッヒオーナーによると、安い値段でお願いした板金屋から出て100m走っただけで割れたとも聞く。ここはケーニッヒの実績を持つ職人と会う必要があるだろう。

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外装色は純正色のソリッドブラックに戻すつもりだ。これから恒久的に保持することを考えると、上塗りじゃなくて塗装剥離から行いたい。そして現代の技術で割れないエアロを目指して欲しい。果たしてそこまで一台のクルマと向き合ってくれる板金屋がいるのか。いるんだなこれが。

今日はあるショップに電話した。ケーニッヒ制作の実績を持つ板金屋だ。電話で小一時間話したが、旧車を好きな人だし、ケーニッヒを手掛けることに積極的な姿勢を示してくれた。仕事の枠を飛び越えて情熱を持って接してくれる良い人だった。話しただけで信用力があり、電話が終わった頃には任せるならこの人しかいないとまで思うようになった。ケーニッヒの復活にはこういう職人が必要だ。

しかし昔の職人仲間がどんどんいなくなっていると聞く。整備ショップの衰退も深刻。金食い虫なネオクラ世代車は現代人にとってはお荷物なんだろう。今じゃ便利機能満載なクルマがそれより安く手に入る。そして残価設定ローンの普及はネオクラ車への意識を削ぐ要因ともなった。もう相当なマニアか変人じゃなけりゃ560のしかもケーニッヒなんて手を出さないよな。

カーギークスという名を掲げる以上、ボクはクルマ好きで居続ける必要がある。でもどうしたって興味が湧くクルマに最近出会えない。コアに組み込まれたインテリジェントなマルチシステムを見るたびに、このクルマ、長くは乗れないなと思う。電子デバイス系の進化は早いから、それだけクルマの陳腐化も早い。欧米の機械式なネオクラへの回帰はそういうこところからも来ているんだろう。

人生で一つ古い物へ執着することは悪いことではない。特にコストを投じて作られた560は当時の思想を知るによい材料だ。ボクは歴代でケーニッヒのような持ち方をしたクルマは一台とない。ただ購入し、価値の目減りとともに飽きては捨ててきた。ケーニッヒは熟成に熟成を重ね、年を追うごとに評価を上げていく。今までとは真逆なカーライフをボクに与えてくれるのだ。大量消費時代の中、一台でも560のような、当時を象徴クルマがあれば時代に飲まれる事なく、自分を保ちながら生きて行ける。親が子に残せるものなどさほど多くない。ボクは自分の思想をケーニッヒに注ぎ、そしてそれを息子に残したい。

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