今日は銀座に行ってきた。

ママが真っ黒いCクラスクーペで会社まで迎えにきてくれた。いかついベンツに白い肌の女性。なかなか引く。彼女は年齢30歳半ばにして既に年収数千万クラスのやり手だ。末端ホステスから稼ぎまくるママへ。彼女の成長はあっという間だった。天職とはこういうことなんだろう。

隠れた料理屋に行った。ここ最近の夜業界はかなり厳しい戦いを強いられている。夜業界は昼業界よりも好景気が一歩遅れてくるわりに、不景気の煽りは我さきに受けるという切ない特徴がある。東京銀座。廃れたとはいえ、未だ社会トップ層が集まる街。その空気感はこれからやってくる経済を予想させてくれる。ちなみにボクが去年コロナショック前に全株を売ったのも、アヴェンタSVJがプレミア付く時にさっと切り上げたのも、銀座から得た感覚値から。オレはエスパーだ。って後ではなんとでも言えるけどぅー。

 

小料理屋はまだ準備が済んでいなかった。寿司屋に移動する。ここの女将は京都出身で、それを売りとばかりに、コテコテの京都弁で迎えてくれる。彼女もまた若くして銀座クラブ街ど真ん中の和食店を買い取り、一流の板前さんを従えるやり手だ。

 

銀座には黒服の友達がいる。同じ歳で、同じ神奈川出身。VIPカー好きに、夜業界育ちというところがボクとの互換性高し。たくさんの上層部の客を相手にしているママと彼から得られる情報はとても有益だ。面白いのは、あのニュースの真相が、実は一般大衆に対してこうも隠蔽されているのかって知った時。イヤな気持ちになるのは、あの政治家の汚い飲み方と、性癖を知った時。今盛り上がってる業界、ダメになりそうな業界。客の金使いの変化。次にあの店が潰れるよっていう業界特有の噂。銀座という村文化の真意。うーむ。実におもしろい。

 

業務が終わった黒服の友人とおでん屋に行った。おでん屋のママと一緒に話をした。ママは去年この店を買い取ったと言う。軌道に乗り始めたその矢先、コロナショックに見舞われた。「でももうしょうがない。ニュースは見ないようにしてる。がんばるしかないもの。」店は最後までボクらしかいなかった。

 

黒服の友人と少し並木通りを歩いた。いつもはまだにぎわってる時間。いるのは空車のタクシーだけだった。既に水面下でいくつかのクラブがコロナショックによる客足減に耐えれず、売却に出ている。潰れたクラブもあるようだ。ホステスは出勤調整(来なくていいよって意味)が長期に渡り、収入が断絶されるという事態に見舞われている。あるクラブは社長を解雇し、オーナーママ自らが表に出る。売り上げを持たない(仕事ができない)にも関わらず、報酬が高い人間からバサバサ切られてゆく。完全実力主義の夜業界は昼業界と違って保証がない。死ぬも生きるも個人の自由。キャストは生き残りをかけて必死だが、クラブは無駄をそぎ落とし、身を軽くしようとする。その判断は素早く、そして躊躇がない。経営サイドもまた生き残りに必死なのだ。段々とコロナショックによる倒産のニュースが増えてきたが、やはり夜業界は一歩先を行っている。特に出勤するにできないホステス達は相当に苦しい。この状態じゃ店を移っても同じ状況だし、かといって昼職に転換するのも難しいだろう。完全に資金源は絶たれた。そういう人が相当な数いる。コロナショックの爪痕は想像以上に大きくなりそうだ。