
ケーニッヒメルセデス・w126 560SELのレストア作業をやっている。機関系はフルリフレッシュし、残すところはボディ鈑金のみとなっているが、ケーニッヒというバカげたほど大柄なエアロパーツの補修は骨の折れる作業で、長い時間とコストがかかる。
完成までに数年の年月がかかるのであれば、その期間中に新たな車両との出会いがあってもおかしくはない。ここ最近手元に来たのは旧車メルセデスの中でも非常にレアな車両。





このクルマを手元に置いた明確な理由はない。ただ朽ちて放置されるのならとりあえず屋内に保管しておこう。そのくらいの軽い気持ちだった。しかしこの車両を本気で修復しようとすると、とてつもなく大変な作業が待っている。それも分かっていたのでずっと手つかずのまま放置していた。一体どこからこれを治すモチベーションが湧いてくるのだろう。
ガレージのリニューアルに着手したころ。同じケーニッヒ愛好家のO氏から連絡があった。私がこのコンバーチブルを所持していたことを知っていた彼は、レストア状況がどのレベルにあるのか気になって電話をくれた。
ただそのまま放置していることを伝えると、彼はため息をついた後に、どういった手順でレストアしていくかのアドバイスをくれた。こういった類の旧車メルセデスは、機関系よりもボディ状態と内装がレストアの肝となる。機関系はパーツがまだ供給されているのと、リビルド品やOEM品が流通しているので、言ってしまえばなんとでもなる。しかし内装パーツはOEM製造されておらず、状態の良いパーツを手に入れることが難しい。製造から何十年も経過したボディは大抵がサビという持病を抱えており、これを完璧な状態に戻すのは不可能だ。特にハンドメイドで作られたようなこのコンバーチブルだとメーカーからパーツを取り寄せるなんてことは不可能だし、アフターマーケットからリビルド品を探すなんてこともできない。つまりレストア対象にするにはもっとも厳しいコンディションにある。
これと同じ車両を何台もレストアしてきた経験を持つO氏の指示は的確だった。まず腐ったホロをすべて剥がし、骨組だけにする。そこからサビを補修し、ホロを止めるための木材の加工を大工に依頼するように指示を受けた。そこから先は彼が委託している業者に持ち込めば、新たなホロを張り直してくれる。そして、ちょうど今O氏がレストアしている同じ車両がある。なんだかモチベが湧いてきた。私はデータ取りのため、その車両が置いてあるショップに向かった。







このホロを支えるための木材に明確な仕様というものはないようだ。だから現存車を参考にデータ化していくのが一番良い。必要なところはすべて採寸したので、もし必要な方がいれば連絡を下さいと言ってみたいけど、この車両をレストアしている人なんて日本に存在するのだろうか。




さて、データ取りは完了した。しかしこの木材の加工をやってくれる人を見つけられるのか。悩みは付きない。でも結局レストアなんて完成してしまえばそれまでで、今悩んでいるこのプロセスにこそ本当の価値があるんだろうと思う。あれもこれも。体は一つだ。出来る事は限られている。今はガレージのリニューアルに集中しよう。

