ぜんせーのアメリカレポート:学生Aから聞くアメリカ留学の実態

 

LAにも日本のナイトクラブがある。決して華やかなイメージはないし、日本人が減っている今、どう生き残るかが目下課題のようだ。

他国において、日本のナイトクラブの存在はとても役に立つ。ゲームで言えばギルド。ドラクエでいう酒場みたいなもん。情報の調達が容易だし、相談にも乗ってくれる。長年LAにいて酸いも甘いも知り尽くしたママはアメリカの常識を知らないボクにとって大きな拠り所でもあった。

帰国間際、ボクはここで留学生の実態を聞いてみることにした。あ、そうそう。ナイトクラブにはたくさんのキャストがいるけど、彼女たちを分かりやすくざっくり以下のタイプに分けてみたよ。

タイプ1:エスタ(観光ビザ)組
日本にいながら、外国キャバクラを探し、リモートで面接。旅費、寮などはクラブ側が負担してくれるため簡単に海外で働く事が可能。アメリカにおいてはエスタで働く事は禁止されているため、公然の不法労働ということになる。この形態を取る子は日本でホステスやキャバ嬢として働いている子が多く、海外に対する漠然とした憧れで明確な目標がないパターンが多い。渡米してもクラブの規約で週5くらいの労働を余技なくされ、三カ月も持たずに帰国する。結局アメリカに何しにきたの?って客から突っ込まれる事多し。常連の男性客はエスタ組を嫌う傾向がある。

タイプ2:留学ガチっと組
日本で留学ビザを申請して、学生として滞在しているパターン。エスタ組の次に多い。ナイトクラブとは言え労働は労働。留学生ビザは労働が認められていないのでこれも不法労働。※学校を終え、OPT(企業研修)段階になると働く事は可能。中でもガチっと組は語学学校で真剣に英語を学び、最短でカレッジやユニバーシティを狙う。そのままアメリカ企業に就職することを目標にしている。そこまで上がっていく人は日本に帰るという気持ちは少ない。

タイプ3:留学ふわっと組
ふわっと組は学生ビザで渡米して、語学学校でふわふわと英語を学ぶふりしてほとんどは隣人とヒャッハーしているケース。タイプ1の次に多い。今でこそ留学生扱いだが、実態は単なるツーリストに語学学校オプションをつけたような形。大体3年くらいで資金ショートするか、カレッジ、ユニバーシティの厳しい現実を知り始めドロップアウトする。日本にいる「私留学経験あるんだぁすごいでしょぅー」って人はほとんどがこのタイプの可能性大。

タイプ4:現地組
アメリカ永住権保持者でナイト業界従事者。現地に根付いて生活しているが、アイデンティティは完全に日本。冒険初心者にはもっとも頼りになる存在だが、見極めないとカモにされる可能性もある。

タイプ5:ネイティブ組
アメリカ生まれの日系人や、日系ハーフなど、アメリカ国籍を持つ子達。アメリカ国民なわけだから労働することに何の問題もない。ただし文化が完全にアメリカなので男性への接客態度はめちゃくちゃ悪い。このネイティブ組はもっとも数が少ない。いたとしても男性に対して接待する文化を持たないので続かないことが多い。

 

ちゅうわけでヒアリングしたのはタイプ2に属するA子 25歳。レポートをまとめるのが面倒なので以下殴り書きでいく。

 
 

Youは何者?

[clear]

[fontsize size=”2″]A子25歳 とても美人。芯の通った顔立ち。[/fontsize]

九州出身。高校生からは国際科がある東京の学校に通った。偏差値は55くらい。パパは弁護士。

なぜアメリカに?

親戚がニュージーランドに住んでいたの。高校生時代にホームステイさせてもらった。もともと英語が好きで勉強はしていたから海外生活に自信はあった。でもいざ行ってみると喋れないし、何もできなかった。CAを目指していたんだけど、これじゃぁダメだって思った。ホームステイから返って東京の英語学校に行ってもう一度勉強しようと思った。でも九州から上京すると、東京が楽しくて遊んでしまった。でもやっぱりCAを諦めきれず、アメリカのカレッジを申し込んだ。[clear]

アメリカに来てからは?

パパの支援を受けてカレッジ(短大みたいなの)に入ったけど、まずESLクラス(第二外国語としての英語)を受けるように言われた。カレッジは入学さえできるけど、クラスを取れる保証はないの。外国人がクラスを取るには必要とされるESLクラスを終えていなければならない。加えてESLクラスを終えても更に高度な英語のクラスの修了もマスト。そこまでしてようやくアメリカ人と同一のクラスを受けることできるようになるの。[clear]

カレッジ後は?

2年半でカレッジを卒業した。猛勉強した。OPT(企業研修ビザ)も取得して航空会社の面接を受けた。でも結局空港内の業務に留まった。社会を知っていくと段々とCAという仕事に魅力をなくしちゃった。夢を失ってしまったってこと。[clear]

夢喪失でその後は?

日本へ帰った。1年間だけね。アメリカで社会に出て初めて自分の無力さを知ったの。何をするにも知識が足りないのを痛感した。英語も必死に勉強したし、成績は良いほうだった。でも結局、社会に出てみると何もできない自分がいた。だから日本へ一旦戻ってパラリーガルとして働いたの。社会勉強のためにね。夢を叶えるためにがんばってがんばってアメリカの学校を卒業したけど、結果的にその夢を失ってしまった。今自分に必要なのは社会に必要な知識と経験を得て、社会的に自立することだと思った。[clear]

パラリーガル後は?

今こうしてアメリカにいる。今はビジネススクールに通ってる。もうお金は親に頼ろうとは思ってない。夢もまたできた。アメリカはとにかく生活も学費も高い。お金が必要。ビジネススクールはクリスチャン系のところを選択した。学費が良心的だから。生活費も親の支援に頼れない。だからこうやって受け入れてくれる職場を探してなんとか食いつないでる。[clear]

Youの英語力は?

うーん。特に生活で悩むことはない。ほぼ完ぺきに喋れてると思う。カレッジでは友達もできず毎日一人ぼっちだった。その状況を打破しようとチアリーディングクラブに入ったの。そこで彼氏もできたし、友達もできた。そこで飛躍的に英語力が伸びた。[clear]

どうやって英語勉強した?

私の場合、まず自分の気持ちを表す言葉を全部覚えた。悲しい。嬉しい。食べたい。寝たい。基本的な欲求となるものね。そこからよく使う動詞をすべてリストアップして暗記して、簡単な文を作ることから始めた。このやり方は今でもよかったと思ってる。

ホームステイでもそうだし、学校でもそう。とにかく人の会話に参加することに努めた。リビングにずーっと一人でいた事もあった。喋るために誰かやってくるのをひたすら待つ。そうすると段々と話しかけられるようになってきた。アメリカはがんばろうとする姿勢を見せる事が大事。待ってても誰も気に留めてくれない。ここはアメリカなんだ、日本のように静かにしていたらダメだと思った。自分を変えた。すると途端に周囲の人々が私を認知してくれるようになった。[clear]
 

学習成果は?

完全に英語環境に身を置いた。3カ月でかなり変わった。1カ月目はしんどいけど、2カ月目になるといきなり何を言ってるか分かるようになった。突然英語で夢を見たの。言語は徐々に成長じゃなくて、ある時急に世界が開ける。そんな感じ。[clear]
 

文法ってやっぱ必要?

うーん、文法は必要ないと思う。中学生の英語学習で充分かな。ノートに書くとか、そういう勉強もいらないと思う。私は音源を聞いて繰り返し発音するように努めた。[clear]

 

発音ってやっぱ必要?

発音は大事。だけど、発音は学校で治してくれるからあまり心配しなくても大丈夫かも。[clear]

 

アメリカ留学を目指す日本の学生に何か伝えよ

うーん・・そうね・・。英語習得にフォーカスして言うわね。まず都市部は避けて。とにかく日本人がいないところを目指す。ニューヨーク、カリフォルニア(特にLA)に来てはダメ。意思の強さは関係ないの。環境の力は絶大。日本語が通じず、誰にも頼れない世界へ身を投じて欲しい。いかに自分を追い詰められるかがカギね。

ホームステイはオススメ。でもルームメイトに日本人がいないことが絶対。いろんなところへ連れてってくれるし、文化を教えてくれる。[clear]

 

アメリカ留学に必要な心得は?

1にお金、2にお金。お金がないと学校に通えない。学生は働けないから充分な資金を持っていないと途中で離脱せざる得なくなる。

例えばカレッジ(短大)を目指す場合、カレッジに入る前に語学学校で英語を勉強する必要がある。英語力が高くないとカレッジの授業についていくのは困難。だから語学学校、カレッジ、両方の学費が必要になる。(カレッジでも年間学費300万は見た方がよい)。2年~3年通うとしても学費だけで1000万近く。これに語学学校費と、生活費。家賃などが加算される。

ちなみにカレッジといっても、ユニバーシティ(4大)に劣るというような事はない。[clear]

 

失敗パターンは?

まず資金ショートね。多くの人が2年~3年であきらめて帰ってしまう。あと、語学学校でダラダラ過ごしてしまって年齢を重ねてしまうケース。社会に出ると語学学校のキャリアはまったく評価されない。カレッジかユニバーシティに行ってなんぼよ。語学学校で年齢を重ねてしまうとそこから上を目指すのは厳しい。語学学校は楽だけどカレッジorユニバーシティは本当に大変。本当は語学学校をさっさと卒業したほうがいい。その分学費が浮く。でもほとんどの人は居心地がよくなって遊んでしまうの。

社会経験がない学生が陥りやすいのはやっぱりお金問題。社会経験がないとお金の使い方を知らないからいつのまにか首が回らなくなっていたってことも多い。このあたりは社会人留学生は見事。計画力も優れているし、なにより確固たる目標を持ってる人が多いから周囲に流されることがない。

ナイトクラブ留学は最も危険ね。(タイプ1の事)アメリカ生活を体験できる触れ込みで若い女性が渡米するけれど、実際は休みも少ないし、クラブは日本人相手だし、給料は安いし、クルマもないから身動きが取れない。ほとんどの人は思ってたのと違うと思って帰ってしまう。

あとインスタもダメ。あれは良いところしか見せない。現実のアメリカはもっと汚くて危険。カリフォルニアの絶景に憧れて来た女の子を何人も見てるけど、ほとんどがすぐに理想と現実とのギャップで帰国してしまう。

 

成功パターンは?

私の目から見て、やっぱり自分でビジネスをしてる人や社会人の人は強い。道を踏み外すことがないし、なにより目標が明確でぶれない。学生の時に憧れで留学するんじゃなくて、しっかりと社会に出て、自分の領域が定まり、確固たる目標を定めてからアメリカに挑戦したほうがいいような気もする。留学生からアメリカ系企業への就職は本当に難しい。

 
 

以上、学生Aから聞いた生のレポートでしたん。

しかしこの子はスゴイね。かなり優秀な部類だと思う。とても強い生命力を感じたよ。それにね、タイプ2の学生を見つけるのは結構難しい。ほとんどがタイプ1もしくはタイプ3ばかり。いやまぁいるんだろうけど、ボクの環境だと出会うのが困難。数年前はもっとタイプ2がいたんだけどねぇ・・

次は学生Bのレポートに続くぜ・・

ぜんせーのアメリカレポート:学生Aから聞くアメリカ留学の実態”へ2件のコメント

  1. 隼‼︎ より:

    カリフォルニアの都市部に留学しようと思っていましたが都市部は避けた方がいいんですね。この記事を読んでよかったです。
    僕はお金の問題もあって一年しか留学出来ないけれどダラダラしないように頑張りたい思います。

    あと疑問に思うんですが、日本の大学で学ぶのとアメリカのカレッジやユニバーシティで学ぶのに大きな違いがあるんでしょうか?アメリカで雇用されやすいとかですかね?

    1. ぜんせー より:

      カリフォルニアでもオレはやる事やれると思うけどね。1年っていうのがネックだね。慣れてきたころ帰国かものう。濃厚な1年をこころがけて!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です