さて、SVJの売却が済みました。これでランボルギーニライフが終わったことになります。

考え直せと言って頂いた方、そしていつか辰巳でボクと一緒に集まりたいと言ってくれた読者さん。メッセージで勇気をもらったと激励の言葉をくれる方々。さーせん、豪快に裏切りました。でも残念ながらボクはそういう男です。

次に代わりとなるようなスーパーなクルマを買う意思は今のところありません。一瞬フェラーリも考えましたが、それもありませんでした。現代的スーパーカーに今のところ意識が向かないということです。

アヴェンタドールはとても素晴らしいクルマに間違いありません。初代LP700からSVJに至るまで、多くの物を得られましたし、物事を見る目も変わりました。素晴らしい仲間と出会えた事も事実です。アヴェンタドールは個体が持つ性能や走り以外に、多くの充実した時間を提供してくれたのです。

さて、アヴェンタドールを降りた理由ですが、今まで言ってきた事(音が小さいだとか、屋根が開かない、リセールが悪い、飽きた)っていうのは確かにありました。でもそれらってカネで解決できる問題ですよね。もう一つ、家族の時間が削られるという理由もありました。忙しい平日に、習い事がある週末。家族一緒に過ごす時間はごくわずかです。そこに2シーターアヴェンタを当て込むと、更に時間は削られます。これは大きな悩みでした。更に三台目ともなると飽きがないワケでもありません。しかしこれらは降りた最大の理由ではないのです。真相は自分の内面的なところにありました。プライベートな事なのでどう説明するか難しいですが、なるべく簡素にまとめてみたいと思います。

 

アヴェンタドールLP700を手にした頃からアメリカに挑戦し始めました。最初にぶち当たったのは語学の壁と文化の壁です。日本で調子づいてたボクはアメリカでズタボロになったわけですね。ビジネスの商談に通訳が必要なんて相手に知れてみてください、まぁボクとなんて誰も目を合わさないです。自分の意思を伝えるのに第三者が必要。こういう状況はビジネスを停滞に追い込みました。そして進出してから4年目に入った現在、恐ろしいことにこの状況が変わっていないのです。外国勢が多くなってきた会社において、社員の能力は高まる一方だが、自分の能力は落ちる一方。この現実は重くボクにのしかかります。

 

最近、中学の頃から好きだったスポーツを始めました。しかし堕落した生活故、底を尽いた持久力、引き締まってない体。スポーツが精神、体力、持久力を養うなら、それをぶつける先はビジネスなのに、今は何も伴っていません。スポーツがダメならビジネスもダメ。そういうことです。

 

こういうウィークポイントを最近痛烈に感じています。つまりっすね、アヴェンタドールに乗っている自分がダサく感じるようになってしまったということです。

英語がたどたどしくて商談もできない、何するにしてもアシストが必要。5分もすれば息が上がる肉体。なのにクルマはアヴェンタドール。これが自分では納得できなかったんですね。

 

ボクはどうせアヴェンタドールに乗るならカッコつけて乗りたかったっすよ。見られるってことはそれだけ自分を意識するって事なんで、「成長しないと」って強制的に思わせてくれるSロードスター(屋根開き)は自分にとっては良い選択でもあったんです。

だから継続的に所有しておくのもよかったんですが、市場が飽和した事と、評価額の低下(アヴェンタの)っていう現状を逆手に取れば、いつでも安く乗れる事ができるということです。だったら別に今離れても問題ないかなって。そしてSVJにプレミアが付いた今が最適な引き際だったんすね。

スーパーカーを買おうかどうしようかで悩んでる人も多いと思います。スーパーカーには普通のクルマにはない価値があったりもします。生産台数、リセールなどなど外的要因も重要なのですが、ソレに乗る事によって自分の内面にどういう影響を及ぼすかにフォーカスして購入を検討してみると良いかもしれません。極論、自分の内面に影響を与えるクルマは世間がどう評価しようがスーパーだし、影響を与えないクルマは1億円したところでスーパーではないのです。

今までは自分にプレッシャーをかける為にもアヴェンタドールは機能してくれましたが、もうそういうステージでもありません。今一度自己の能力UPに集中していかないと、会社から戦力外通告を受ける日も近いです。社長だからって安泰なんて言葉はないのです。

 

カーギークスを始めてから多くの読者に見てもらうことができました。30代で起業してアヴェンタドール三台を乗り継いだと言えば聞こえはいいですが、実際は高いリセールバリューを誇ったから出来たことでもあります。だからボクを成功者として見てくれた人に感謝しつつも、実際ボクはそこまでの人間ではないですよってことも言っておきたいです。ランボルギーニのコアな顧客層はレベルがケタ違いです。ボクは末端層に位置するのです。参考程度にしてもらうのはありがたいですが、決してボクをロールモデルにしてはいけません。

 

というわけで数年間続いたランボルギーニライフの終焉です。いやぁ良い時代を過ごしました。既にSVJを手放してから数週間が経過していますが、自分でも驚くほど未練を感じていませんし、自分なりに見切りをつけた事で今は新たなステージに進む意欲が湧いています。

今までカーギークスは全面にランボルギーニライフを謡っていました。結果、アヴェンタドール系の記事は想定以上に多くの読者を集めました。それも今日で終わりです。では見ていてくれた人、とりわけ現代スーパーカーやアヴェンタドール目当てだった方、さようならごきげんよう!