オチのない独り言です。

 

引っ越しを検討しててね。いろいろ部屋を見て回ってる。

どの不動産業者に聞いても港区の賃貸高額物件は値上がっていると言うが実際にそうだろうか。ボクは基本賃貸更新をする前に引っ越しをする。そういう頻繁な引っ越しは子供の成長フェーズに合わせた部屋を選べること、心機一転気持ちを新たにできることにメリットを感じているから。一つの家に長く住まない。そういうポリシーでずっとやってきた。物件探しは妻マッキーがする。マッキーはほぼ365日ネットの物件情報に目を通している。その感覚からすると、高額物件に至っては値が上がるどころか大幅な下落が見られる。特に築年数の古い物件で顕著。

先日見た物件はメイドルームが併設され、装備されるバスルームは三個にも及ぶ。ひと昔前の外資系駐在員用みたいな物件だ。すべてが無駄に広く、それに応じて賃料も高い。当然借り手はつかず、数カ月もリスティングされている。他も同じだ。有名ブランドマンションであっても月の賃料100万円を超えたあたりから急激に動きが鈍くなる。結果ずるずる賃料は下落。下げ幅は数十万にも及んでいる。それでも借り手はついていない。こういうマンションが港区にはたくさん見られる。土地代がかかる戸建ては賃料も高め。にも関わらず高級マンションに付くようなコンシェルジュサービスはついていないし、防犯面でも劣る。よって更に悲惨な状況。

ボクは先日見た一つの物件を気に入った。会社から道一本だし、駐車場は平置きの地下。駐輪するのに制限がない。この物件なら念願の自転車通勤ができるじゃないかって。しかし物件は古いクセにブランドか何かにかこつけて賃料は強気。よって、指値で交渉を入れてみた。ボクの提示は礼金ゼロ、賃料は表示価格から20万円ダウンだ。当然蹴られると思いきや、オーナーはまんざらでもなさそう。数日待って結果的には交渉が決裂したがオーナーのメッセージは切実だった。「本当は借りて欲しいけど、そこまで下がると高額な固定資産税と管理費、ローン支払いで赤字垂れ流しになってしまう」というもの。おそらくこの物件の購入価格は2億近い。損益分岐点を単純に相場賃料で貸せた場合でシュミレーションしてしまったのかもしれない。結局その物件は週末であろうとも一軒も内見されない日々が続いているという。

おそらく。土地の評価額、賃料相場、そういうのは数字としてあるけども、必ずしも成約と紐づくワケじゃない。つまり一般的に出回ってる数字より、成約価格はずっと低い可能性があるということ。賃貸の場合は必ずしも成約価格が業者データベースに残るとは限らない。もはや高額物件は言い値という世界だ。

広くて古い物件はリスクが高そうだ。何故なら新築マンションがたくさん建ち始めているから。建て替え物件も多くなり、古い物件が勝てる要素は相場賃料よりぐっと下げてお得感を出すしかない。しかしそもそも人口減と結婚率の低下により、広い物件を必要とする層が極端に減っている。東京は今しばらく人口増が予想されるが、その多くは若手の独身者層。都心ワンルーム系の需要は根強いかもしれないが、広くて高額な物件はより一層厳しい状態になると感じた。投資兼自分が住む用に1億の家を買うのなら、1千万程度の独身者向け物件を10個獲得し、自分は高額賃貸物件を叩いてお得に住んでいたほうがポートフォリオの安全性は増すような気もする。

完全に都心の土地神話は崩壊しているようにも思う。表参道、青山などの一等地はテナントの歯抜け状態が目に付くようになってきた。高級時計ショップが撤退した後、チョコレート屋に変わり、そこも半年経たず撤退。世の中の消費スタイルが変わりつつあるのにテナント料は高いままだから、ショップが高額賃料以上に収益を上げるのが難しくなっている。これが続くとテナントの借り手がつかず、賃料はどんどん下落していく。まさに今の香港(大規模デモ、その後コロナショックで高額なテナント料を払えない店が続出)のような状態。今後、都心一等地こそ賃料の下落幅が大きくなるんじゃないか。そう思った。

アメリカに行き始めた頃、知り合う誰もがロスに家を買いたいと言っていたのを思い出す。それは値段が上がり続けているから。なるべく早く買わないと相場上昇に乗り遅れるみたいな。集団催眠みたいなもんさ。しかし今は誰も想像しなかったコロナウイルスという形で恐慌が起ころうとしている。もし土地価格が下落を見せ始めると回復には時間がかかる。不動産はその性質上、金融商品よりも動きが遅いからね。何かこう、今回のコロナショックで今まで気づけなかった事に気づき始めた。そんな感じがする。

あぁ、国内主要株は去年にすべて処分した。値が著しく落ちるようなクルマも処分した。しかしヨーロッパ株だけは手付かずだった。もう塩漬けは決定。損害は大きいはず。でもそれに呼応するように、コロナショックの渦中でもAMGネオクラシックベンツだけは強い値上がりを示した。やれやれ、株価暴落がウイルスによるものだとは予想もできなかったけど、資産価値暴落を支えてくれたのがネオクラベンツだったってのも予想できなかったぜ。うーむ、オレのカーライフ。実におもしろい。